里山に夏鶯の声通る 森戸しゆじ
青葉から青葉に伝ふ風のあり
青嵐大樹を揺らし雲までも 木村宏一
卯の花やこぼれて白し月の夜
学生の足音軽し樟若葉
全山の重みを見せて樟若葉 駒田暉風
うららかや子供の手品種みえて 石崎そうびん
麦秋やモザイク柄の美濃平野
勤行の読経朗々藤の花
レール錆び矢車菊は隆盛す 石川順一
名を知らぬ鳥にゆすらの実を盗られ
山川草木雨の八十八夜かな 橋本幹夫
上蔟の生業競ふ家二軒
やはらかに君眠る夜の椎落葉
どの道も今を盛りの花水木 池下よし子
颯爽と紺のスーツや若葉光
受付の泰山木の花大し
農道を車疾走麦の秋 山口美琴
子供の日親子サッカー交流す
夏立つや乙女の足の長きこと
夏木立奥の院へと磴いくつ 足立山渓
菊石の出づる山裾袋掛
初夏や電子辞書より鳥の声
母の日や宅急便の待たれをり 志村万香
立葵明石の海に顔向けて
旧道の軒並み低く菖蒲葺く 清水恵山
桑断ちや上蔟の時期来るらし
渡月橋囃の舟や西祭
夏野菜あれやこれやと狭き庭 筒井省司
ひとしきり舞つて燐家へ揚羽蝶
雨のあとつやつやの肌柿若葉
くす玉を割つて進水夏来る 田村公平
新緑の街から街へ跨線橋
バーベキュー囲む野球子子供の日
空青し舞ひ立ちさうな山法師 渡邉春生
宿坊の廊下広々若葉寒
万緑の空あをあをと鯉跳ねる
宏一撮影/藤
夏めいて塗りかへてゐる海の家 後藤允孝
時鳥鳴ひて深山欲しいまま
千年を手繰り寄せたり樟若葉
一山の石南花淨土明りかな 山縣伸義
賑はへる友の個展や街薄暑
わが暮しいよよ簡素に更衣
女子会のトーク弾けるソーダ水 瀬尾睦夫
放水のシュプール描く五月晴
観音の御手にふるるや花水木 白根鈴音
草中に拳かかげて夏蕨
庭下駄の泥の乾きや別れ霜
・・・・・・・
選者詠 野田ゆたか ・・・・・・・
雨やんで茅花流しの夜となりぬ
新樹燃え水琴窟の音かすか
亀鳴くや謎がなぞ生む写楽の絵
選句は、作者別に絶対評価を行い各3句以内を抽出して
入会日順に掲示をしています。
出句者間の相対評価は行っていません。
宏一撮影/黒百合
宏一撮影/立葵
これら写真は、出句函の
ものを複写しました。
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「月刊清月」では、相対評価は行い
佳句作者順に登載しています。
平成二六年五月の清月句会の選者披講・・夏鴬の俳句 里山に夏鶯の声通る/森戸しゆじ・青葉の俳句 青葉から青葉に伝ふ風のあり/森戸しゆじ・青嵐の俳句 青嵐大樹を揺らし雲までも/木村宏一・卯の花の俳句 卯の花やこぼれて白し月の夜/木村宏一・樟若葉の俳句 学生の足音軽し樟若葉/木村宏一・樟若葉の俳句 全山の重みを見せて樟若葉/駒田暉風・麗かの俳句 うららかや子供の手品種みえて/石崎そうびん・麦秋の俳句 麦秋やモザイク柄の美濃平野/石崎そうびん・藤の俳句 勤行の読経朗々藤の花/石崎そうびん・矢車菊の俳句 レール錆び矢車菊は隆盛す/石川順一・山桜桃の実の俳句 名の知らぬ鳥にゆすらの実を盗られ/石川順一・八十八夜の俳句 山川草木雨の八十八夜かな/橋本幹夫・上族の俳句 上蔟の生業競ふ家二軒/橋本幹夫・椎若葉の俳句 やはらかに君眠る夜の椎落葉/橋本幹夫・母の日の俳句 母の日や宅急便の待たれをり/志村万香・立葵の俳句 立葵明石の海に顔向けて/志村万香・夏木立の俳句 夏木立奥の院へと磴いくつ/足立山渓・袋掛の俳句 菊石の出づる山裾袋掛/足立山渓・初夏の俳句 初夏や電子辞書より鳥の声/足立山渓・花水木の俳句 どの道も今を盛りの花水木/池下よし子・若葉光の俳句 颯爽と紺のスーツや若葉光/池下よし子・泰山木の花の俳句 受付の泰山木の花大し/池下よし子・麦の秋の俳句 農道を車疾走麦の秋/山口美琴・子供の日の俳句 子供の日親子サッカー交流す/山口美琴・夏立つの俳句 夏立つや乙女の足の長きこと/山口美琴・菖蒲葺くの俳句 旧道の軒並み低く菖蒲葺く/清水恵山・上族の俳句 桑断ちや上蔟の時期来るらし/清水恵山・西祭の俳句 渡月橋囃の舟や西祭/清水恵山・夏野菜の俳句 夏野菜あれやこれやと狭き庭/筒井省司・揚羽蝶の俳句 ひとしきり舞って燐家へ揚羽蝶/筒井省司・柿若葉の俳句 雨のあとつやつやの肌柿若葉/筒井省司・夏来るの俳句 くす玉を割って進水夏来る/田村公平・新緑の俳句 新緑の街から街へ跨線橋/田村公平・子供の日の俳句 バーベキュー囲む野球子子供の日/田村公平・山法師の俳句 空青し舞ひ立ちさうな山法師/渡邉春生・若葉寒の俳句 宿坊の廊下広々若葉寒/渡邉春生・万緑の俳句 万緑の空あをあをと鯉跳ねる/渡邉春生・夏めくの俳句 夏めいて塗りかへてゐる海の家/後藤允孝・時鳥の俳句 時鳥鳴いて深山欲しいまま/後藤允孝・樟若葉の俳句 千年を手繰り寄せたり樟若葉/後藤允孝・石楠花の俳句 一山の石南花淨土明りかな/山縣伸義・薄暑の俳句 賑はへる友の個展や街薄暑/山縣伸義・更衣の俳句 わが暮しいよよ簡素に更衣/山縣伸義・ソーダ水の俳句 女子会のトーク弾けるソーダ水/瀬尾睦夫・五月晴れの俳句 放水のシュプール描く五月晴/瀬尾睦夫・花水木の俳句 観音の御手にふるるや花水木/白根鈴音・夏蕨の俳句 草中に拳かかげて夏蕨/白根鈴音・別れ霜の俳句 庭下駄の泥の乾きや別れ霜/白根鈴音・茅花流しの俳句 雨やんで茅花流しの夜となりぬ/野田ゆたか・新樹の俳句 新樹燃え水琴窟の音かすか/野田ゆたか・亀鳴くの俳句 亀鳴くや謎がなぞ生む写楽の絵/野田ゆたか