急ぎ足止めたる路地の梅の花 森戸しゆじ
鍬先の土ころころと春を舞ふ 木村宏一
銀河系零れてそよぐ猫柳
高々と滝に見立ててしだれ梅
古りて尚目元涼しき内裏雛 駒田暉風
二つ三つ御下がり戴く雛あられ
蜆掻き夕陽に向かふ帰り舟 石崎そうびん
船見えぬ七里の渡し涅槃西風
淡々と喜寿を迎へり木の芽和
自転車の轍の水に春日かな 石川順一
一日中春雨色の心かな
風ぬくし鹿の擦り寄る島の昼 橋本幹夫
火男の面もかなしき大石忌
蓴生ふ池へ通じる獣道
快音の少年野球風光る 池下よし子
うぐひすの啼く声いまだととのはず
きららかに雨粒とどめ楓の芽
寿司店のメニュー新たに雛御膳 山口美琴
暖かや文化講演満席に
土筆摘む小鉢に少し卵とじ
お松明闇夜にぐいと突き出され 足立山渓
園丁のすみれ植うるや花時計
三河弁の飛び交ふ茶屋や菜種梅雨
春雲や生きる幸せ一句詠む 志村万香
永き日の帳静かに降ろしくる
先駆けて真紅に芽立つ楓かな 清水恵山
牛蒡蒔く土柔らかく堀下げて
雛の句を詠みて切なき立子の忌
生垣の椿燃えつきぽとり落つ 筒井省司
いづこまで帽子転がす春一番
春の川身動きもせぬ太公望
ネクタイを外し春愁解き放つ 田村公平
合格の校門潜り青き踏む
出でては早や踏まれて育つ名草の芽
春の鳥咥えし魚を落としけり 渡邉春生
もてなしの緑茶たまはる梅の寺
蛇穴を出でて読経の声を浴ぶ
ラリー終へテニスコートに春の風 後藤允孝
沈丁の香の染みつきし石だたみ
風あおり野火の勢ひ猛りたる
円筒の蕊の際立つ椿かな 山縣伸義
強東風や足元ゆるる超高ビル
縦横に鳥除けの糸ぼたんの芽
ものの芽や入学の子のランドセル 瀬尾睦夫
鞦韆に二人並びて片思ひ
寒戻り修行の僧も足早に
地虫出づ三十路になりし朝かな 橋本幹史
・・・・・・・
選者詠 野田ゆたか ・・・・・・・
清水の舞台袖より涅槃西風
*えり*袖に立つる逆波東風強し
遠霞日本一のビル聳へ
選句は、作者別に絶対評価を行い各3句以内を抽出して
入会日順に掲示をしています。
出句者間の相対評価は行っていません。
宏一撮影/枝垂梅
宏一撮影/黄水仙
これら写真は、出句函の
ものを複写しました。
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「月刊清月」では、相対評価は行い
佳句作者順に登載しています。
清月俳句会・平成26年3月句会の選者披講 清月主宰・野田ゆたか/梅の花の俳句 急ぎ足止めたる路地の梅の花 森戸しゆじ/春の俳句 鍬先の土ころころと春を舞ふ 木村宏一/猫柳の俳句 銀河系零れてそよぐ猫柳/枝垂梅の俳句 高々と滝に見立ててしだれ梅/内裏びなの俳句 古りて尚目元涼しき内裏雛 駒田暉風/雛あられの俳句 二つ三つ御下がり戴く雛あられ/蜆の俳句 蜆掻き夕陽に向かふ帰り舟 石崎そうびん/涅槃西風の俳句 船見えぬ七里の渡し涅槃西風/木の芽和えの俳句 淡々と喜寿を迎へり木の芽和/春日の俳句 自転車の轍の水に春日かな 石川順一/春雨の俳句 一日中春雨色の心かな/ぬくしの俳句 風ぬくし鹿の擦り寄る島の昼 橋本幹夫/大石忌の俳句 火男の面もかなしき大石忌/ぬなわの俳句 蓴生ふ池へ通じる獣道/春の雲の俳句 春雲や生きる幸せ一句詠む 志村万香/永き日の俳句 永き日の帳静かに降ろしくる/お松明の俳句 お松明闇夜にぐいと突き出され 足立山渓/菫の俳句 園丁のすみれ植うるや花時計/菜種梅雨の俳句 三河弁の飛び交ふ茶屋や菜種梅雨/風光るの俳句 快音の少年野球風光る 池下よし子/鴬の俳句 うぐひすの啼く声いまだととのはず/楓の芽の俳句 きららかに雨粒とどめ楓の芽/雛の俳句 寿司店のメニュー新たに雛御膳 山口美琴/暖かの俳句 暖かや文化講演満席に/土筆の俳句 土筆摘む小鉢に少し卵とじ/楓の俳句 先駆けて真紅に芽立つ楓かな 清水恵山/牛蒡蒔くの俳句 牛蒡蒔く土柔らかく堀下げて/立子忌の俳句 雛の句を詠みて切なき立子の忌/椿の俳句 生垣の椿燃えつきぽとり落つ 筒井省司/春一番の俳句 いづこまで帽子転がす春一番/春の川の俳句 春の川身動きもせぬ太公望/春愁の俳句 ネクタイを外し春愁解き放つ 田村公平/青き踏むの俳句 合格の校門潜り青き踏む/草の芽の俳句 出でては早や踏まれて育つ名草の芽/春の鳥の俳句 春の鳥咥えし魚を落としけり 渡邉春生/梅の俳句 もてなしの緑茶たまはる梅の寺/蛇穴を出るの俳句 蛇穴を出でて読経の声を浴ぶ/春の風の俳句 ラリー終へテニスコートに春の風 後藤允孝/沈丁の俳句 沈丁の香の染みつきし石だたみ/野火の俳句 風あおり野火の勢ひ猛りたる/椿の俳句 円筒の蕊の際立つ椿かな 山縣伸義/強東風の俳句 強東風や足元ゆるる超高ビル/牡丹の芽の俳句 縦横に鳥除けの糸ぼたんの芽/ものの芽の俳句 物の芽や入学の子のランドセル 瀬尾睦夫/鞦韆の俳句 鞦韆に二人並びて片思ひ/寒戻りの俳句 寒戻り修行の僧も足早に/地虫出づの俳句 地虫出づ三十路になりし朝かな 橋本幹史/涅槃西風の俳句 清水の舞台袖より涅槃西風 野田ゆたか/東風強しの俳句 えり袖に立つる逆波東風強し/遠霞日本一のビル聳へ