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   めぐり来る心の冬にルミナリエ 木村宏一
    冬帝の心なごませルミナリエ
    水都にはビルの光の聖樹かな
 
    甲斐駒のいただき染めて柿簾 湯澤正枝
   松が枝に突き刺すような寒の月
    折返す電車ホームへ日脚伸ぶ
 
    人並みに師走の路を急ぎけり 駒田暉風
     人波に逆らいて行く歳の市
      夕時雨軒より軒へ宿場道
 
   やましさも食めば忘るゝ鴨の鍋 岩本和行
    鱈汁をすする星夜や獣吠える
    膏肉のいとも分け良き鴨の鍋
 
      海風に水仙丈を揃へけり 酒井牧人
    懇ろに机上を拭きて賀状書く
     白寿まだ夢語るなり冬牡丹
 
      合掌家自在鉤には牡丹鍋 石崎そうびん
     冬うらら祖父造作の門直る
      卓上の椀の滑りや冬座敷
 
      感動の言葉短し冬すみれ 有馬やよこ
    南瓜煮る塩控え目の冬至かな
    冬ざれの田舎を一輌電車過ぐ
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     昇る日に霜輝ける菜畑かな 有馬たく
    銀嶺を見せて日に染む冬の山
    来し方や空へ真直ぐ冬木の芽
 
     座してなほ少年剣士息白し 橋本幹夫
     玄海の夕陽くれなゐ冬怒濤
    黒鍵に今朝の寒さを叩きけり
 
     雪下ろし父と励みし里の朝 橋本典子
  樅の木のイルミネーション十二月
    なんとまあ冬満月の白きかな
 
   褞袍着て朝のごみ出し小走りに 木村玲子
 
    庭下駄の裏返つてゐる十二月 高柳ゆうこ
       晩鐘のビルに谺や冬茜
      一生も一瞬なりし冬銀河
 
     梟の一声鳴きて止みにけり 北井古石
    心にも寂しさといふ冬野あり
     夕暮の土間を彩る冬菜かな
 
   年用意世事の条理にこだはらず 野田ゆたか
      毒舌も美辞も受止め年忘
    年忘まだまだ昭和生きてをり
選句は、作者別に絶対評価を行い各3句以内を抽出して
入会日順に掲示をしています。
出句者間の相対評価は行っていません。
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宏一撮影
神戸ルミナリエ
宏一撮影
OSAKAルネッサンス2008
和行の句

膏肉=こうにく。肉のうち脂肪の多い部分。

たくの句

来し方=こしかた。今までに過ぎてきた時間。
     過去。過ぎて来た場所。

正枝の俳句

甲斐駒=かいこま。甲斐駒ケ岳(かいこまがたけ)の略。

諦観の句

はらから=同胞。「はら」は腹、「から」は血縁関係にあるものの意。

     同じ母の腹から生まれた兄弟、姉妹。転じて、一般に兄弟姉妹をいう。

ゆたかの句

条理=じょうり。物事のすじみち。物事の道理。
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これら写真は、出句函のものを複写しました。
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平成20年12月 インターネット清月俳句会作品集 主宰 野田ゆたか。冬の俳句 ルミナリエの俳句 めぐり来る心の冬にルミナリエ 木村宏一。冬帝の俳句 冬帝の心なごませルミナリエ 木村宏一。聖樹の俳句 水都にはビルの光の聖樹かな 木村宏一。柿簾の俳句 甲斐駒のいただき染めて柿簾 湯澤正枝。寒の月の俳句 松が枝に突き刺すような寒の月 湯澤正枝。日脚伸ぶの俳句 折返す電車ホームへ日脚伸ぶ 湯澤正枝。師走の俳句 人並みに師走の路を急ぎけり 駒田暉風。年の市の俳句 人波に逆らいて行く歳の市 駒田暉風。夕時雨の俳句 夕時雨軒より軒へ宿場道 駒田暉風。鴨鍋の俳句 やましさも食めば忘るゝ鴨の鍋 岩本和行。鱈汁の俳句 鱈汁をすする星夜や獣吠える 岩本和行。鴨鍋の俳句 膏肉のいとも分け良き鴨の鍋 岩本和行。水仙の俳句 海風に水仙丈を揃えけり 酒井牧人。賀状書くの俳句 懇ろに机上を拭きて賀状書く 酒井牧人。冬牡丹の俳句 白寿まだ夢語るなり冬牡丹 酒井牧人。ぼたん鍋の俳句 合掌家自在鉤には牡丹鍋 石崎そうびん。冬うららの俳句 冬うらら祖父造作の門直る 石崎そうびん。冬座敷の俳句 卓上の椀の滑りや冬座敷 石崎そうびん。冬すみれの俳句 感動の言葉短し冬すみれ 有馬やよこ。冬至の俳句 南瓜煮る塩控え目の冬至かな 有馬やよこ。冬ざれの俳句 冬ざれの田舎を一輌電車過ぐ 有馬やよこ。霜の俳句 昇る日に霜輝ける菜畑かな 有馬たく。冬の山の俳句 銀嶺を見せて日に染む冬の山 有馬たく。冬木の芽の俳句 来し方や空へ真直ぐ冬木の芽 有馬たく。息白しの俳句 座してなほ少年剣士息白し 橋本幹夫。冬怒涛の俳句 玄海の夕陽くれなゐ冬怒濤 橋本幹夫。寒さの俳句 黒鍵に今朝の寒さを叩きけり 橋本幹夫。雪卸の俳句 雪下ろし父と励みし里の朝 橋本典子。十二月の俳句 樅の木のイルミネーション十二月 橋本典子。冬満月の俳句 なんとまあ冬満月の白きかな 橋本典子。どてらの俳句 褞袍着て朝のごみ出し小走りに 木村玲子。十二月の俳句 庭下駄の裏返つてゐる十二月 高柳ゆうこ。冬茜の俳句 晩鐘のビルに谺や冬茜 高柳ゆうこ。冬銀河の俳句 一生も一瞬なりし冬銀河 高柳ゆうこ。ふくろうの俳句 梟の一声鳴きて止みにけり 北井古石。冬のの俳句 心にも寂しさといふ冬野あり 北井古石。冬菜の俳句 夕暮の土間を彩る冬菜かな 北井古石。年用意の俳句 年用意世事の条理にこだはらず 野田ゆたか。年忘れの俳句 毒舌も美辞も受止め年忘 野田ゆたか。年忘れの俳句 年忘まだまだ昭和生きてをり 野田ゆたか。Hp管理人 野田ゆたか。