時雨きて子規旅立ちを濡らしけり 大西ひろし
薄原つぎつぎ笹子巣立ちゆく
朝の陽を斜めに酸葉芽立ちけり
嬰あやし爺婆の顔初笑 長嶺 勇
人混みを避けて授かる残り福
廃校となりし母校の山眠る
初雪の溶けて檜皮の屋根燃ゆる 森戸しうじ
三が日限定御籤は吉ばかり
本殿に日差し求めて初詣
咲き満たすしあわせの色福寿草 野田ゆたか
送信を終へて気づきぬ冷たき手
冬銀河学研都市の闇深し
選句は、作者別に絶対評価を行い各3句以内を抽出して
入会日順に掲示をしています。
出句者間の相対評価は行っていません。
ひろしの句
酸模=すいば。現代国語では「酸葉」表記。
別に、「すかんぽ」、「あかぎしぎし」の名がある。
勇の句
嬰=えい/やや/ややこ。嬰子・赤子、生まれて間のない子。
句全体の句調からこの句では「やや」と読む。
しうじの句
桧皮=ひわだ。桧(ひのき)・杉・椹(さわら)などの樹皮で葺かれた屋根。
※ 古典俳句では、「檜皮」と桧の旧字体が用いられる。
燃ゆる=もゆる。上5の雪解から「光を放つ」と解釈する。
写真は、住吉大社の桧皮葺屋根
清水寺、善光寺本堂、室生寺五重塔、出雲大社本殿、金峯山寺本堂、吉備津神社本殿及び拝殿、厳島神社の諸殿、住吉神社本殿などで見られる檜皮は、屋根の曲線がきれい。
平成17年1月 インターネット清月俳句会作品集 主宰 野田ゆたか。時雨の俳句 時雨きて子規旅立ちを濡らしけり 大西ひろし。笹子の俳句 薄原つぎつぎ笹子巣立ちゆく 大西ひろし。酸葉の俳句 朝の陽を斜めに酸葉芽立ちけり 大西ひろし。初笑の俳句 嬰あやし爺婆の顔初笑 長嶺 勇。残り福の俳句 人混みを避けて授かる残り福 長嶺 勇。山眠るの俳句 廃校となりし母校の山眠る 長嶺 勇。初雪の俳句 初雪の溶けて檜皮の屋根燃ゆる 森戸しうじ。三ケ日の俳句 三が日限定御籤は吉ばかり 森戸しうじ。初詣の俳句 本殿に日差し求めて初詣 森戸しうじ。福寿草の俳句 咲き満たすしあわせの色福寿草 野田ゆたか。冷たいの俳句 送信を終へて気づきぬ冷たき手 野田ゆたか。冬銀河の俳句 冬銀河学研都市の闇深し 野田ゆたか。