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選者 岬  忠
4月19日 開催
    夏隣る水辺親しくなりにけり 松山寿美
    花翳の水の面に映ゆる浮見堂
    蒔き急ぎして忘れ霜恐れをり
 
    石楠花の眩しき女人高野かな 田中茂治
      入相の鐘鳴る里の花巡る
       人気なき汀の桜貝探る
 
    五色椿落ちて真昼の黙を解く 西村舟津
     篝火の闇に浮き立つ花万朶
   刻なしに鳴る鐘の音の長閑なる
 
   ひとひらの落花栞りし句帳閉づ 林 雄次郎
    降りそうな空を支えて花水木
   ほつほつと斉庭に樫の落葉降る
 
   一と夜さに万朶の花の咲き誇る 田村昌平
     塀越しに大糸桜咲き垂るる
 
    手秤に鬻げる蜑の鹿尾菜かな 野田ゆたか
     竹の秋寂びし悲恋の比翼塚
        京洛の渡る大橋月朧
 
・・・・・ 選者 岬   忠 詠 ・・・・・
 
  葉隠の矜持なほ持ち武具飾る
  大塔の空より落花しきりなる
 沖の闇遠ざけ烏賊火燃えたてる 
 
    
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
夏隣の俳句 夏隣る水辺親しくなりにけり 松山寿美。花の俳句 花翳の水の面に映ゆる浮見堂。忘れ霜の俳句 蒔き急ぎして忘れ霜恐れをり。石南花の俳句 石楠花の眩しき女人高野かな 田中茂治。花見の俳句 入相の鐘鳴る里の花巡る。桜貝の俳句 人気なき汀の桜貝探る。椿の俳句 五色椿落ちて真昼の黙を解く 西村舟津。花万朶の俳句 篝火の闇に浮き立つ花万朶。のどかの俳句 刻なしに鳴る鐘の音の長閑なる。落花の俳句 ひとひらの落花栞りし句帳閉づ 林雄次郎。花水木の俳句 降りそうな空を支えて花水木。落ち葉の俳句 ほつほつと斉庭に樫の落葉降る。花万朶の俳句 一と夜さに万朶の花の咲き誇る 田村昌平。大糸桜の俳句 塀越しに大糸桜咲き垂るる。ひじきの俳句 手秤に鬻げる蜑の鹿尾菜かな 野田ゆたか。竹の秋の俳句 竹の秋寂びし悲恋の比翼塚。朧月の俳句 京洛の渡る大橋月朧。武具飾るの俳句 葉隠の矜持なほ持ち武具飾る 岬忠。落花の俳句 大塔の空より落花しきりなる。烏賊漁の俳句 沖の闇遠ざけ烏賊火燃えたてる。2018年(平成30年)4月の同人俳句結社「木津川俳句会の月例句会の開催報告です。句会同人は、有季定形・文語(旧仮名遣い)を以て伝統的手法で俳句を詠んでいます。管理人は、清月庵主・野田ゆたかです。