12月15日 開催
半蔀を刎ねし小春の写経の間 稲福昌一
荒涛に挑む大間の鮪船
歳晩の身代り猿の守る町 西村舟津
天日に冬芽ふくらむ辛夷かな
恙なき顔のそろひて納め句座 松山寿美
落葉茶屋昼を点して小商ひ
値の高きものより売るる飾かな 林
雄次郎
マスクの娘眼より美貌の溢れゐし
幼の日夜毎怯えし虎落笛 長嶺 勇
九条葱とて土付きしまま持たす
年毎に余白の増ゆる日記果つ 田中茂治
息白し無人の駅に列車待つ
鴨の陣ごとにそれぞれ寝落ちゆく 野田ゆたか
食べ頃の湯豆腐の湯に躍り出す
・・・・・ 選者 岬 忠 詠 ・・・・・
猪射ちの益荒男となり野山駈く
齟齬多き予後の身託ち年用意
小春の俳句 半蔀を刎ねし小春の写経の間 稲福昌一。鮪の俳句 荒涛に挑む大間の鮪船 稲福昌一。歳晩の俳句 歳晩の身代り猿の守る町 西村舟津。冬芽の俳句 天日に冬芽ふくらむ辛夷かな 西村舟津。納句座の俳句 恙なき顔のそろひて納句座 松山寿美。落葉の俳句 落葉茶屋昼を点して小商ひ 松山寿美。飾の俳句 値の高きものより売るる飾かな 林 雄次郎。マスクの俳句 マスクの娘眼より美貌の溢れゐし 林 雄次郎。虎落笛の俳句 幼の日夜毎怯えし虎落笛 長嶺 勇。葱の俳句 九条葱とて土付きしまま持たす 長嶺 勇。日記果つの俳句 年毎に余白の増ゆる日記果つ 田中茂治。息白しの俳句 息白し無人の駅に列車待つ 田中茂治。鴨の俳句 鴨の陣ごとにそれぞれ寝落ちゆく 野田ゆたか。湯豆腐の俳句 食べ頃の湯豆腐の湯に躍り出す 野田ゆたか。猪の俳句 猪射ちの益荒男となり野山駈く 岬忠。年用意の俳句 齟齬多き予後の身託ち年用意 岬忠/2016年(平成28年)12月の同人俳句結社「木津川俳句会の月例句会の開催報告です。句会同人は、有季定形・文語(旧仮名遣い)を以て伝統的手法で俳句を詠んでいます。管理人は、清月庵主・野田ゆたかです。