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3月26日 開催
     登り窯より煙り立ち山笑ふ 稲福昌一
    雪吊の未だ解かれざる空の色
    描かれざる風の慟哭涅槃絵図
 
      水取の紙衣の皺も下七日 西村舟津
    初音聴き豊かな朝の始まれり
    大仏殿涅槃の雪に降り昏らむ
 
    人力車駆け出し春の風を生む 松山寿美
  顔寄する寝釈迦に息のかかるほど
     手水舎に溢るる山の春の水
 
    半生を托すに軽ろき受検絵馬 林 雄次郎
     犬ふぐり屈めば温き日の光
   紅梅の咲く坂の戸に住み古りて
 
      売土地の看板立ちし花薺 長嶺 勇
  地に触れむばかりに伸びて枝垂梅
      長々と尿する犬草萌ゆる
 
    判じ物めけるのの字の蜷の道 野田ゆたか
   いかなごの初の浜値の安からず
    船波の寄すたび水漬き芦の角

・・・・・ 選者 岬   忠 詠 ・・・・・
 
  鴨引きて底なし沼の風匂ふ
  温泉中りの長き逗留山笑ふ
   遺愛雛飾りて修す七七忌
山笑うの俳句 登り窯より煙り立ち山笑ふ 稲福昌一。雪吊の俳句 雪吊の未だ解かれざる空の色 稲福昌一。涅槃絵図の俳句 描かれざる風の慟哭涅槃絵図 稲福昌一。水取の俳句 紙衣の俳句 水取の紙衣の皺も下七日 西村舟津。初音の俳句 朝の俳句 初音聴き豊かな朝の始まれり 西村舟津。涅槃の雪の俳句 大仏殿の俳句 大仏殿涅槃の雪に降り昏らむ 西村舟津。春の風の俳句 人力車の俳句 人力車駆け出し春の風を生む 松山寿美。寝釈迦の俳句 顔寄する寝釈迦に息のかかるほど 松山寿美。春の水の俳句 手水舎に溢るる山の春の水 松山寿美。受験の俳句 絵馬の俳句 半生を托すに軽ろき受検絵馬 林雄次郎。犬ふぐりの俳句 犬ふぐり屈めば温き日の光 林雄次郎。紅梅の俳句 紅梅の咲く坂の戸に住み古りて 林雄次郎。薺の花の俳句 売土地の看板立ちし花薺 長嶺 勇。枝垂梅の俳句 地に触れむばかりに伸びて枝垂梅 長嶺 勇。草萌ゆるの俳句 長々と尿する犬草萌ゆる 長嶺 勇。蜷の道の俳句 判じ物めけるのの字の蜷の道 野田ゆたか。いかなごの俳句 いかなごの初の浜値の安からず 野田ゆたか。芦の角の俳句 船波の寄すたび水漬き芦の角 野田ゆたか。鴨引くの俳句 鴨引きて底なし沼の風匂ふ 岬忠。山笑うの俳句 温泉中りの長き逗留山笑ふ 岬忠。雛飾りの俳句 遺愛雛飾りて修す七七忌 岬忠。2015年(平成27年)月の同人俳句結社「木津川俳句会の月例句会の開催報告です。句会同人は、有季定形・文語(旧仮名遣い)を以て伝統的手法で俳句を詠んでいます。管理人は、清月庵主・野田ゆたかです。