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6月26日 開催
    鈍色の暈をまとひし梅雨の月 稲福昌一
     山雨急神輿担ぐ足乱れがち
    黒南風や不漁を託ち蜑ら酌む
 
  緑蔭を見知らぬ人と分ち合ふ長嶺 長嶺 勇
      一陣の風に花合歓焔立つ
   鉢合す大くちなはの身じろがす
 
    雨雫したゝり落つるえごの花 松山寿美
     浮見堂四方に吹き抜く青嵐
       神の庭仏の庭も万緑裡
 
     濁声を降らせる暁の梅雨鴉 西村舟津
  ほととぎす一声啼きてそれつきり
     群統ぶ威はや備はりし袋角
 
      城山の肩を越ゆ雲桐の花 林 雄次郎
   菖蒲湯に喜寿の五体を沈めけり
     見得を切る如く鴬老を啼く
 
      人生の遅れ戻せず時計草 野田ゆたか
      蝋涙の一灯ほのと五月闇
     限りある命惜しめよ火取虫

・・・・・ 選者 岬   忠 詠 ・・・・・

  愛憎は人の世の常火蛾狂ふ
  潮騒の島の目覚めの明易し
 不意打ちの夜半の梅雨寒募り来し
梅雨の月の俳句 鈍色の暈をまとひし梅雨の月 稲福昌一。神輿の俳句 山雨急神輿担ぐ足乱れがち 稲福昌一。黒南風の俳句 黒南風や不漁を託ち蜑ら酌む 稲福昌一。緑蔭の俳句 緑蔭を見知らぬ人と分ち合ふ 長嶺 勇。合歓の花の俳句 一陣の風に花合歓焔立つ 長嶺 勇。蛇の俳句 鉢合す大くちなはの身じろがす 長嶺 勇。えごの花の俳句 雨雫したゝり落つるえごの花 松山寿美。青嵐の俳句 浮見堂四方に吹き抜く青嵐 松山寿美。万緑の俳句 神の庭仏の庭も万緑裡 松山寿美。梅雨の俳句 濁声を降らせる暁の梅雨鴉 西村舟津。ほととぎすの俳句 ほととぎす一声啼きてそれつきり 西村舟津。袋角の俳句 群統ぶ威はや備はりし袋角 西村舟津。桐の花の俳句 城山の肩を越ゆ雲桐の花 林雄次郎。菖蒲湯の俳句 菖蒲湯に喜寿の五体を沈めけり 林雄次郎。老鴬の俳句 見得を切る如く鴬老を啼く 林雄次郎。時計草の俳句 人生の遅れ戻せず時計草 野田ゆたか。五月闇の俳句 蝋涙の一灯ほのと五月闇 野田ゆたか。火取虫の俳句 限りある命惜しめよ火取虫 野田ゆたか。火蛾の俳句 愛憎は人の世の常火蛾狂ふ 岬忠。明易しの俳句 潮騒の島の目覚めの明易し 岬忠。梅雨寒の俳句 不意打ちの夜半の梅雨寒募り来し 岬忠。2014年(平成26年)7月の同人俳句結社「木津川俳句会の月例句会の開催報告です。句会同人は、有季定形・文語(旧仮名遣い)を以て伝統的手法で俳句を詠んでいます。管理人は、清月庵主・野田ゆたかです。