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		      七堂を巡る回廊冷やかに 松山寿美
  
		   逝く秋や木洩れ日ゆらぐ苔の庭
  
		    新米をお福分けさる集ひかな
  
		  
		
  
		       一日を巡る永観堂の秋 門田窓城
  
		    一枚の湖をひろげて秋晴るる
  
		       化野の石みな佛秋の風
  
		
  
		   見返りの弥陀の一瞥さわやかに 西村舟津
  
		     深秋の堂に白道伸びてをり
  
		    胴殻もあらはに菊師休みをり
  
		
  
		    たたなはる山容すでに秋の色 宇都宮美智子
  
		   昨夜の雨からりと晴れて鳥渡る
  
		      十三夜水に影置く浮御堂
  
		
  
		    稲雀攻めては引きて又攻むる 野田ゆたか
  
		  秋深む何処からとなく何時となく
  
		     散策の嵯峨野は吾に野菊晴
  
		 
  
		 
  
		・・・・・ 選者 西  
		ア 佐 知 詠 ・・・・・
  
		
  
		 バス降りて紅葉の山に呑まれけり
  
		  登高や四方の眺めをほしいまま
  
		   遠目にも七色に揺る秋桜
  
		
	 
	
	
	
		寿美の句
 
		七堂=しちどう。宗派により異なる。「金堂・塔・講堂・鐘楼・経蔵・食堂・僧坊」又は
 
		     「仏殿・法堂・三門・庫院・僧堂・浴室・東司」※必ずしも明確ではない。
 
		お福分け=おふくわけ。作物・貰い物などで品質がよいことなどを自慢して分け与えること。
 
		     【類語】裾分け→貰い物などで余っもの(余分)を分け与えること。
 
		
 
		窓城の句
 
		化野=あだしの。徒野・仇野とも表記。徒野が一般的表記。京都の嵯峨の奥、小倉山の麓の
 
		     野。「あだし」にかけて、はかない物事の象徴となる。火葬場のあった地として
 
		     鳥部野とともに有名。
 
		
 
		舟津の句
 
		見返りの弥陀=みかえりのみだ。弥陀←阿弥陀如来の略語。京都・永観堂の本堂に、顔を左
 
		     に向けている美男の阿弥陀が祀られている。顧(みかえり)如来と呼ばれている。
 
		白道=びゃくどう。西方浄土に到る道として寺院本堂の中に白色で表示された通路があった
 
		     りする。前の句が永観堂の句であり、永観堂禅林寺の白道と理解できる。白道は、
 
		     おそろしい火・水の二河に挟まれた細い白道と言われている。
 
		胴殻=どうがら。菊人形の竹材の人形の胴台。 菊師←菊人形師の略語。
 
		
 
		美智子の句
 
		たたなはる=たたなわる。畳なわる。かさなりあってつらなる。
 
		     万葉集に「たたなはる青垣山」などと使われている。
	
	
		冷やかの俳句 七堂を巡る回廊冷やかに 松山寿美の俳句。行秋の俳句 逝く秋や木洩れ日ゆらぐ苔の庭。新米の俳句 新米をお福分けさる集ひかな。堂の秋の俳句 一日を巡る永観堂の秋 門田窓城の俳句。秋晴の俳句 一枚の湖をひろげて秋晴るる。秋風の俳句 化野の石みな佛秋の風。爽やかの俳句 見返りの弥陀の一瞥さわやかに 西村舟津の俳句。秋深しの俳句 深秋の堂に白道伸びてをり。菊師の俳句 胴殻もあらはに菊師休みをり。秋の色の俳句 たたなはる山容すでに秋の色 宇都宮美智子の俳句。鳥渡るの俳句 昨夜の雨からりと晴れて鳥渡る。十三夜の俳句 十三夜水に影置く浮御堂。稲雀の俳句 稲雀攻めては引きて又攻むる 野田ゆたかの俳句。秋深むの俳句 秋深む何処からとなく何時となく。野菊の俳句 散策の嵯峨野は吾に野菊晴。選者 西ア佐知の俳句 紅葉山の俳句 バス降りて紅葉の山に呑まれけり。重陽の俳句 登高や四方の眺めをほしいまま。コスモスの俳句 遠目にも七色に揺る秋桜。2005年(平成17年)10月の同人俳句結社「木津川俳句会の月例句会の開催報告です。句会同人は、有季定形・文語(旧仮名遣い)を以て伝統的手法で俳句を詠んでいます。管理人は、清月庵主・野田ゆたかです。