9月18日 開催
台風に静まり返る漁師町 宇都宮美智子
雷の神にささげて菊の酒
秋の潮一直線にかもめ飛ぶ 池末あけみ
静けさの中にありけり秋の声
藩廟を訪ね高きに登りけり 西ア佐知
戯れに引きてきりなき烏瓜
山霧に真白の闇のありにけり 門田窓城
高原の霧に閉ざされゐる孤独
まゝならぬ盥宥めつ菱を取る 布野 壽
カンテラに光り太刀魚釣上る
御簾深く斉王代や重九の儀 西村舟津
炎立つ門田の畦の曼珠沙華
僧坊の笊に枝豆盛られあり 林
雄次郎
山頂の風を捉えし乱れ萩
名水の今なほ涸れず萩の宮 松山寿美
秋あかね飛び交ふ式部邸の寂
風誘ひ風に誘はれ秋桜 寺本光堂
攻防の足跡たどる野路の秋
庭師来て新涼の景狭庭にも 水野惠以
夜すがらに歯痛に悩む秋の夕
天領の嶺逆しまに流れ星 稲福昌一
一言を告げざる悔や走馬灯
犬の尾の触れて飛びたつ草の絮 野田ゆたか
風がふと匂ふ草の香初月夜
・・・・・ 選者 山
口 正 秋 詠 ・・・・・
朝露に濡れゐて飛騨の流人の碑
浅間山噴火の裾の花野かな
颱風の俳句 台風に静まり返る漁師町 宇都宮美智子。菊の酒の俳句 雷の神にささげて菊の酒。秋の朝の俳句 秋の潮一直線にかもめ飛ぶ 池末あけみ。秋の声の俳句 静けさの中にありけり秋の声。登高の俳句 藩廟を訪ね高きに登りけり 西ア佐知。烏瓜の俳句 戯れに引きてきりなき烏瓜。霧の俳句 山霧に真白の闇のありにけり 門田窓城。霧の俳句 高原の霧に閉ざされゐる孤独。菱の実採るの俳句 まゝならぬ盥宥めつ菱を取る 布野壽。太刀魚の俳句 カンテラに光り太刀魚釣上る。重陽の俳句 御簾深く斉王代や重九の儀。西村舟津 曼珠沙華の俳句 炎立つ門田の畦の曼珠沙華。枝豆の俳句 僧坊の笊に枝豆盛られあり 林雄次郎。萩の俳句 山頂の風を捉えし乱れ萩。萩の俳句 名水の今なほ涸れず萩の宮 松山寿美。秋茜の俳句 秋あかね飛び交ふ式部邸の寂。コスモスの俳句 風誘ひ風に誘はれ秋桜 寺本光堂。秋の俳句 攻防の足跡たどる野路の秋。新涼の俳句 庭師来て新涼の景狭庭にも 水野惠以。秋の夕の俳句 夜すがらに歯痛に悩む秋の夕。流星の俳句 天領の嶺逆しまに流れ星 稲福昌一。走馬燈の俳句 一言を告げざる悔や走馬灯。絮の俳句 犬の尾の触れて飛びたつ草の絮 野田ゆたか。走馬灯の俳句 風がふと匂ふ草の香初月夜。露の俳句 朝露に濡れゐて飛騨の流人の碑。花野の俳句 浅間山噴火の裾の花野かな 山口正秋。2004年(平成16年)9月の同人俳句結社「木津川俳句会の月例句会の開催報告です。句会同人は、有季定形・文語(旧仮名遣い)を以て伝統的手法で俳句を詠んでいます。管理人は、清月庵主・野田ゆたかです。