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10句選 選句者 9人
20/2014b/12
橋 本 幹 夫 選 
    水鳥の浅き眠りや薄日さす/後藤允孝
   あるだけの靴を磨きて年の暮/瀬尾睦夫
   綺羅星の聖樹辿り来街明かり/池下よし子
    冬晴や連峰白き日のひかり/山口美琴
   冬晴や日時計の影やはらかに/木村宏一
   四方山の話持ち寄り日向ぼこ/清水恵山
      里山の祠を囲む冬木立/筒井省司
  短日やななめ読みする古書新書/森戸しゆじ
  手焙の思ひ出だけを連れてゆく/石川順一
   風呂吹や窓を揺らして風の音/石崎そうびん

池 下 よ し 子 選  
  短日やななめ読みする古書新書/森戸しゆじ
   見詰め合う瞳に映る聖樹の灯/木村宏一
     枯葦や影黒々と比良比叡/石崎そうびん
     時々は鈴を鳴らせる竈猫/橋本幹夫
     永平寺廊下の隅に冬兆す/志村万香
      蕪煮る甘き香りや夕厨/山口美琴
   アルプスの威を前にして雪囲/清水恵山
      荒縄の男結びや冬囲い/田村公平
   年の瀬や打つ手忙しきレジ娘/後藤允孝
  振り上げし杵の重さやお餅つき/瀬尾睦夫

後 藤 允 孝 選 
  短日やななめ読みする古書新書/森戸しゆじ
    空白は心に記して日記果つ/木村宏一
 枯菊のあつけらかんと焚かれけり/石崎そうびん
    馬耳を立てて横たふ虎落笛/橋本幹夫
   寒灯のグラスに映し夜半の雨/池下よし子
  水仙や白きベールを脱いで咲く/山口美琴
      寺一つ懐に置き山眠る/清水恵山
     電飾に冬木華やぐ街の色/田村公平
     短日の光を吸うて鉢の花/渡辺春生
   凍雲や天啓のごと日矢を射し/瀬尾睦夫
清 水 恵 山 選
     山襞に隠るる寺や夕時雨/石崎そうびん
   冬晴や日時計の影やわらかに/木村宏一
  長火鉢旧家を守りて老いにけり/渡邉春生
  健やかに老いの暮らしや年歩む/池下よし子
    ゴミ出し日挨拶交す息白し/山口美琴
     初氷傘で突つつく登校児/橋本幹夫
    物忘れさらに激しき年の暮/後藤允孝
     夕映えに彩整へて山眠る/筒井省司
   奈落より這い出る舳先寒怒涛/田村公平
  落つる日の影絵となりし冬木立/瀬尾睦夫

木 村 宏 一 選 
  短日やななめ読みする古書新書/森戸しゆじ
    声高にわれ呼ぶ妻や年の暮/石崎そうびん
     時々は鈴を鳴らせる竈猫/橋本幹夫
     哀歓の塵となりたる古暦/池下よし子
  水仙や白きベールを脱いで咲く/山口美琴
   アルプスの威を前にして雪囲/清水恵山
    凍雲に日時計時を忘れたる/田村公平
     短日の光を吸うて鉢の花/渡辺春生
   苦も楽もみんな忘るる年の果/後藤充孝
  落つる日の影絵となりし冬木立/瀬尾睦夫

瀬 尾 睦 夫 選
   冬晴や日時計の影やわらかに/木村宏一
     粉雪と共に旅する神戸駅/志村万香
  水仙や白きベールを脱いで咲く/山口美琴
       荒縄の男結びや冬囲/田村公平
  つれづれに焚火の人と話し込む/渡邉春生
    いつもより一枚多き掛布団/橋本幹夫
    時雨来て足取り重き山下る/後藤允孝
  バスを待つ足の爪先冷えにけり/清水恵山
 数へ日やメモを片手の押すカート/池下よし子
 溶けきらぬ味噌のひとかけ根深汁/そうびん
森 戸 し ゆ じ 選 
      荒ぶ風が命の霧氷かな/木村宏一
   縁側に誰か来さうな小春かな/石崎そうびん
     永平寺廊下の隅に冬兆す/志村万香
     哀歓の塵となりたり古暦/池下よし子
  水仙や白きベールを脱いで咲く/山口美琴
   アルプスの威を前にして雪囲/清水恵山
    十二月名簿に印す喪の葉書/筒井省司
   奈落より這ひ出る舳先寒怒涛/田村公平
  家族五人湯たんぽ五つ揃ひたる/渡邉春生
     枝打ちの山を鎮めて六花/瀬尾睦夫

筒 井 省 司 選 
   税という漢字で終る師走なり/山口美琴
      冬日和年金族の集う山/木村宏一
   穏やかに一年過ぎて障子貼る/田村公平
    夕時雨タンゴ流るる喫茶店/石崎そうびん
      暁を裂ひて一本寒稽古/瀬尾睦夫
    塩鮭の塩が飛び散る割烹着/橋本幹夫
      寺一つ懐に置き山眠る/清水恵山
  冬座敷テレビは付けしまま眠り/石川順一
  つれづれに焚火の人と話し込む/渡邉春生
   図らずも古道に入り冬うらら/森戸しゆじ

山 口 美 琴 選 
  短日やななめ読みする古書新書/森戸しゆじ
   冬晴や日時計の影やわらかに/木村宏一
   縁側に誰か来さうな小春かな/石崎そうびん
    鰤起し通ふ夜舟の佐渡情話/橋本幹夫
     永平寺廊下の隅に冬兆す/志村万香
 数へ日やメモを片手の押すカート/池下よし子
      寺一つ懐に置き山眠る/清水恵山
       荒縄の男結びや冬囲/田村公平
   苦も楽もみんな忘るる年の果/後藤充孝
  落つる日の影絵となりし冬木立/瀬尾睦夫