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10句選 選句者10人
橋 本 幹 夫 選
     秋耕の土柔らかき鍬の先/後藤允孝
   銀杏黄葉舞ひ散る一葉栞とす/山口美琴
     古里の山が教える冬支度/白根鈴音
   新米の手のひら熱き塩むすび/池下よし子
  炊き立ての湯気も馳走や今年米/瀬尾睦夫
    岸壁の母の桟橋ススキの穂/森戸しゆじ
    六地蔵やさしき顔に菊香る/筒井省司
   瀬しぶきの魚道の石や崩れ簗/清水恵山
   日溜りへ犬寝ころびて秋日和/木村宏一
   青蜜柑土の匂ひを知つてゐる/石川順一
森 戸 し ゆ じ  選
   新松子つんと尖りし寡黙かな/木村宏一
   色褪せる蕎麦屋の暖簾秋時雨/石崎そうびん
   実石榴や嘗て電器店ありし跡/石川順一
     曳行の駒と立寄る秋の川/橋本幹夫
   これよりは御岳見れば祈る秋/志村万香
   捨つるものすてしより冬支度/池下よし子
   瀬しぶきの魚道の石や崩れ簗/清水恵山
  賽銭を上げて椎の実ポケットに/筒井省司
      廃屋の土塀彩る蔦紅葉/田村公平
     山小屋の番人去りて冬隣/後藤允孝
池 下 よ し 子 選
   新松子つんと尖りて寡黙なり/木村宏一
     縄文も弥生の里も天高し/橋本幹夫
    どの畠も輝くやうな豊の秋/志村万香
     一片の雲なき空や菊日和/山口美琴
   曇天を破るが如く百舌鳥猛る/筒井省司
     新米に小首傾げる水加減/田村公平
    白壁に収まりきれず蔦紅葉/渡邊春生
     秋耕の土柔らかき鍬の先/後藤允孝
  炊き立ての湯気も馳走や今年米/瀬尾睦夫
   佳き日には佳き空となり鰯雲/白根鈴音
清 水 恵 山 選
    借景の叡山糢糊と風炉名残/池下よし子
  虫の音や嵯峨野の闇を深くして/春生
    どの畠も輝くやうな豊の秋/万香
     秋入日心がわりや雲の色/木村宏一
    六地蔵やさしき顔に菊香る/筒井省司
     縄文も弥生の里も天高し/橋本幹夫
    朝霧の牧にくぐもる牛の声/そうびん
     古里の山が教へる冬支度/白根鈴音
    円陣をなす男らは葦を焼く/石川順一
   どの道を行くも紅色柿すだれ/瀬尾睦夫
木 村 宏 一 選
      短めの竿に稲干老夫婦/森戸しゆじ
   色褪せる蕎麦屋の暖簾秋時雨/石崎そうびん
     曳行の駒と立寄る秋の川/橋本幹夫
   捨つるものすてしより冬支度/池下よし子
     一片の雲なき空や菊日和/山口美琴
   瀬しぶきの魚道の石や崩れ簗/清水恵山
    六地蔵やさしき顔に菊香る/筒井省司
     新米に小首傾げる水加減/田村公平
    白壁に収まりきれず蔦紅葉/渡邉春生
     古里の山が教える冬支度/白根鈴音
筒 井 省 司 選
   生き様をふと振り返る秋の暮/田村公平
    ハーブ園足湯の熱さ秋の風/木村宏一
    しらみゆく郡上八幡霧深し/石崎そうびん
  炊き立ての湯気も馳走や今年米/瀬尾睦夫
     猫とても掴む術なし鰯雲/白根鈴音
  新蕎麦を打つ人もまた修行の身/後藤充孝
  野良灼けの温顔笑みて新酒汲む/清水恵山
    朝顔の実と書き記す茶封筒/橋本幹夫
    連休や一日ひと畦稲を刈る/森戸しゆじ
  老いてなほ似た者夫婦とろろ汁/池下よしこ
山 口 美 琴 選
   保育士の大きな身振り運動会/木村宏一
   色褪せる蕎麦屋の暖簾秋時雨/石崎そうびん
     縄文も弥生の里も天高し/橋本幹夫
   これよりは御岳見れば祈る秋/志村万香
   捨つるものすてしより冬仕度/池下よし子
    山の陽や流れの早き下り簗/清水恵山
    六地蔵やさしき顔に菊香る/筒井省司
     新米に小首傾げる水加減/田村公平
   こすもすの風の中なる絵本館/渡邉春生
    豆力士去りし土俵に秋の風/瀬尾睦夫
瀬 尾 睦 夫 選
     秒針の音なく刻む初時雨/駒田暉風
     息災に同胞集ふ亥の子餅/橋本幹夫
  夕暮れてざわめく木々の秋寂し/志村万香
     一片の雲なき空や菊日和/山口美琴
     新米に小首傾げる水加減/田村公平
 たわわにも畦を占めたる稲穂かな/森戸しゆじ
    水澄むや心の淀み拭ひ去る/後藤允孝
    今生の旅はどこまで秋の雲/そうびん
   農小屋に人の出入りや柿の秋/池下よし子
  歳経たる庭の万年青の実の赤し/清水恵山
後 藤 允 孝 選
     短めの竿に稲干す老農夫/森戸しゆじ
     秒針の音なく刻む初時雨/駒田暉風
     曳行の駒と立寄る秋の川/橋本幹夫
   これよりは御岳見れば祈る秋/志村万香
   しろがねのひかり波打つ芒原/池下よし子
    六地蔵やさしき顔に菊香る/筒井省司
     里山に深き杭打つ猪の垣/田村公平
    白壁に収まりきれず蔦紅葉/渡辺春生
    寝転んで刈田の上や空広し/瀬尾睦夫
   佳き日には佳き空となり鰯雲/白根鈴音
石 川 順 一 選
     秋の空光の帯を鳥はゆく/橋本幹夫
   瀬しぶきの魚道の石や崩れ簗/清水恵山
  タンカーが浮いて湾内秋日濃し/田村公平
  一畝の菜虫を取りて茶をすすり/筒井省司
     松手入れ親子二代の鋏音/後藤允孝
     猫とても掴む術なし鰯雲/鈴音
   火祭やますます赤き夜の天狗/橋本幹夫
  長き夜の開けてまた閉づ方丈記/そうびん
 サフランや酒は二合を良しとせん/橋本幹夫
  三歳が英語でおどすハロウィン/池下よし子