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10句選 選句者10人
20/2014b/09
橋 本 幹 夫 選
    名月を浮べて古都の舟遊び/木村宏一
    白砂に寄する白波花カンナ/池下よし子
    白杖の歩み止めたる法師蝉/森戸しゆじ
   蟋蟀の鳴く草むらの荒野かな/石川順一
    蟷螂の鎌を借りたき草の丈/白根鈴音
    照り翳る陣屋の白洲桐一葉/石崎そうびん
    秋天や一機離陸し夢を追ふ/山口美琴
   雨戸閉め水割り二杯雨月かな/筒井省司
  コスモスの咲いて門出や退職日/瀬尾睦夫
   不忍の池にかりがね渡りくる/清水恵山

清 水 恵 山 選
      露草や儚さ滲む藍の色/木村宏一
     嫋やかに雨の滴る葡萄棚/橋本幹夫
   火口湖のかぎりなき蒼天高し/石崎そうびん
    寂しさを隠して踊る風の盆/志村万香
    白杖の歩み止めたる法師蝉/森戸しゆじ
    鶏頭を添へて供花の調ひし/池下よし子
  連れ潮にエンジン軽き良夜かな/田村公平
  月光の撫でてゆくなり通夜の家/渡邊春生
     廃線の鉄路に紅く吾亦紅/白根鈴音
    学ぶこと道のり遠き秋灯下/後藤允孝

木 村 宏 一 選
    鈴虫や遠夜の空に微かなり/森戸しゆじ
   十六夜の影踏み超して渡る橋/橋本幹夫
     潮風に鳥渡り来る船泊り/池下よし子
     露の玉草木に映す陽の光/山口美琴
    高原を天へ繋げて蕎麦の花/清水恵山
    秋簾巻けば瀬音の高まりぬ/石崎そうびん
     越屋根の繰糸場跡秋高し/田村公平
    学ぶこと道のり遠き秋灯下/後藤充孝
    この石も先祖の一人秋彼岸/瀬尾睦夫
   草の香の零るるさきの露の玉/白根鈴音

森 戸 し ゆ じ 選
      露草の儚さ滲む藍の色/木村宏一
    照り翳る陣屋の白洲桐一葉/石崎そうびん
     石狩に青き空あり鮭遡る/橋本幹夫
    寂しさを隠して踊る風の盆/志村万香
   秋の蚊や耳元に来て何告げる/山口美琴
    高原を天へ繋げて蕎麦の花/清水恵山
  連れ潮にエンジン軽き良夜かな/田村公平
   稲架かけて畝傍の里の夕間暮/後藤允孝
    この石も先祖の一人秋彼岸/瀬尾睦夫
     廃線の鉄路に紅く吾亦紅/白根鈴音
 
池 下 よ し 子 選
    白杖の歩み止めたる法師蝉/森戸しゆじ
   辛夷の実鳥にあげよか耳飾り/木村宏一
    照り翳る陣屋の白州桐一葉/石崎そうびん
     石狩に青き空あり鮭遡る/橋本幹夫
   秋の蚊や耳元に来て何告げる/山口美琴
     恙なく万物実り厄日去る/清水恵山
    月光の撫でてゆく通夜の家/渡邊春生
    この石も先祖の一人秋彼岸/瀬尾睦夫
   この先はけもの道なり男郎花/後藤允孝
   蟷螂の鎌をを借りたき草の丈/白根鈴音

山 口 美 琴 選
    白杖の歩み止めたる法師蝉/森戸しゆじ
      露草の儚さ滲む藍の色/木村宏一
    照り翳る陣屋の白洲桐一葉/石崎そうびん
     石狩に青き空あり鮭遡る/橋本幹夫
     潮風に鳥渡り来る船泊り/池下よし子
    高原を天へ繋げて蕎麦の花/清水恵山
    学ぶこと道のり遠き秋灯下/後藤允孝
    寂しさを隠して踊る風の盆/志村万香
    この石も先祖の一人秋彼岸/瀬尾睦夫
   草の香の零るるさきの露の玉/白根鈴音

後 藤 允 孝 選
    鈴虫や遠夜の空に微かなり/森戸しゆじ
   辛夷の実鳥にあげよか耳飾り/木村宏一
    秋簾巻けば瀬音の高まりぬ/石崎そうびん
    男郎花流るる風に逆らはず/橋本幹夫
     木犀の匂ひ香りて思ふ里/志村万香
     潮風に鳥渡り来る船泊り/池下よし子
     秋桜風に頷くおもてなし/山口美琴
   挨拶は目で交はしけり男郎花/清水恵山
 木犀の香気に行ったり来たりかな/筒井省司
     越屋根の繰糸場跡秋高し/田村公平
瀬 尾 睦 夫 選
   恐らくは夜業の人の帰りかな/石川順一
   十六夜や逢瀬早めて闇の間に/木村宏一
  金木犀路地いっせいに匂ひ初む/池下よし子
   秋の蚊や耳元に来て何告げる/山口美琴
    高原を天へ繋げて蕎麦の花/清水恵山
  引き潮にエンジン軽き良夜かな/田村公平
     小鳥来る動物園の休園日/春生
    指先の妖しきしぐさ風の盆/後藤允孝
   十六夜の影踏み越して渡る橋/橋本幹夫
    この道のどこまで続く鰯雲/そうびん

筒 井 省 司 選 
   鰯雲カーブミラーに収まらず/石崎そうびん
   秋夕焼ひょいと乗せたる肩車/池下よしこ
      露草や儚さ滲む藍の色/木村宏一
    境界の赤き線引く曼珠沙華/山口美琴
    蟷螂の鎌を借りたき草の丈/白根鈴音
   不忍の池にかりがね渡りくる/清水恵山
   天空へ湯けむり昇る夜寒かな/田村公平
  裏戸出て姉さん被り秋刀魚焼く/駒田暉風
      満天の星を肴に秋の宵/後藤充孝
     石狩に青き空あり鮭遡る/橋本幹夫

石 川 順 一 選 
     小鳥来る動物園の休園日/春生
  クッキーの焼ける匂ひや秋の雷/池下よし子
抜け道の此処もあそこも秋刀魚焼く/駒田暉風
   雨降るねうんよく降るね蛍草/橋本幹夫
   露草の踏みにじられて色残す/そうびん
   稲刈りにオーナー集ふ千枚田/後藤允孝
    看病の少し寝てみる秋の風/万香
   ちちろ鳴く石の底には団子虫/橋本幹夫
先導のトンボが止まるフェンスかな/田村公平
     団栗の道に詩人を案内す/春生