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10句選 選句者11人
20/2014b/08
橋 本 幹 夫 選
  てのひらに甘さ確かめ梨を剥く 後藤允孝
    手花火や桃の印のマッチ箱 清水恵山
   風は西いち日ごとに秋となり 森戸しゆじ
      夕空に薄絹の雲踊の輪 石崎そうびん
    空蝉や夕日に透ける琥珀玉 池下よし子
   亡き人の座る場所空け盆用意 渡邊春生
    宍道湖に夕日沈みて星月夜 白根鈴音
    八月や宿題終へて子の笑顔 山口美琴
   芙蓉咲く横に明日咲く蕾有り 筒井省司
    朝顔は閉ぢて雫の花となり 木村宏一
 
池 下 よ し 子 選 
  それぞれに草の匂ひや草いきれ 森戸しゆじ
    晩夏光街見下ろして八合目 木村宏一
   白粥を喉にするりと今朝の秋 石崎そうびん
赤のままいつのまにやら野に来たる 石川順一
    蜩の鳴き始めたる雨後の里 橋本幹夫
    球児去り甲子園早や新涼に 清水恵山
   丘を越え祭り音頭の流れくる 筒井省司
     唐黍をもぐ百姓の力こぶ 渡邊春生
     水打つて風の道あり石畳 後藤充孝
    宍道湖に夕日沈みて星月夜 白根鈴音
 
清 水 恵 山 選
    咲き変る化粧直して花木槿 木村宏一
     迎火や遠くに若き母の声 石崎そうびん
   流れ星願ひを声に出して見る 石川順一
   山車曲り小兵打つ飛ぶ大手町 橋本幹夫
   焼け跡に遊びし記憶蝉しぐれ 池下よし子
    酔芙蓉人目忍んで紅をさし 筒井省司
     新涼や剃り跡青き修行僧 田村公平
 若者の街のファッション秋に入る 後藤允孝
   くつきりと連峰望む今朝の秋 山口美琴
   山ほどの土産ばなしの墓参り 白根鈴音
 
瀬 尾 睦 夫 選
     炎天や少年肩を怒らせて そうびん
  三尺寝独り占めするベンチかな 田村公平
    緑陰に暫し休みて風を入れ 後藤允孝
    空蝉や夕日に透ける琥珀玉 池下よし子
   秋暑し二の足踏んで軒を出ず 駒田暉風
処暑の朝こつんと跳ねるトースター 橋本幹夫
    水引の花は山野に不動たり 石川順一
  露の世に老後の一歩踏み出さり 春生
   控へめに茗荷の花の白さかな 山口美琴
  自ずから丸くなりけり踊りの輪 清水恵山
後 藤 允 孝 選 
    朝顔は閉ぢて雫の花となり 木村宏一
   落日やなほ鳴き止まぬ法師蝉 石崎そうびん
   木漏日の甘きみちのく韮の花 橋本幹夫
  気まぐれな雲の一と日な花木槿 池下よし子
     宗祇水声やはらかに踊唄 山口美琴
  凋みても明日をまた待つ花木槿 清水恵山
    坪庭の隅にほのぼの花茗荷 筒井省司
     新涼や剃り跡青き修行僧 田村公平
   秋あざみ雨に打たれて刺尖る 渡辺春生
    文月も一筆箋にこと足りて 白根鈴音
 
森 戸 し ゆ じ 選 
  秋立つや吹く風軽き尾根を行く 木村宏一
   秋暑し草木は萎れ老いの身も 駒田暉風
     典子忌の白き願の糸に雨 橋本幹夫
   葉陰にも風に乗せられ糸蜻蛉 志村万香
    比良仰ぐ生水の郷や稲の秋 池下よし子
  プラレール児の世界なる夏座敷 山口美琴
  わだつみの声不知火の向ふから 清水恵山
     露草や束の間の藍輝かせ 筒井省司
すすき野の富士なだらかに海の入る 渡邉春生
    文月も一筆箋にこと足りて 白根鈴音
 
木 村 宏 一 選 
   白粥を喉にするりと今朝の秋 石崎そうびん
   山車曲り小平打つ飛ぶ大手町 橋本幹夫
   遅れ来て手もとせはしき秋扇 池下よし子
   くつきりと連峰望む今朝の秋 山口美琴
   土間裏へ残る暑さを逃しけり 清水恵山
    酔芙蓉人目忍びて紅をさし 筒井省司
     新涼や剃り跡青き修行僧 田村公平
  露の世に老後の一歩踏み出せリ 渡邉春生
     朝顔の雨に冴えたる濃紫 後藤充孝
    宍道湖に夕日沈みて星月夜 白根鈴音
 
筒 井 省 司 選 
   仕事終えぐっと一気に砂糖水 清水恵山
  秋立つや吹く風軽き尾根を行く 木村宏一
   自転車の籠が頬張る西瓜かな 橋本幹夫
   桃の香の仄かに匂ふ仏間かな 後藤充孝
      玄関の靴の散乱盆休み 池下よしこ
     新涼や剃り跡青き修行僧 田村公平
   亡き人の座る場所空け盆用意 渡邉春生
    秋の夜や朗読で聴く方丈記 石崎そうびん
   控えめに茗荷の花の白さかな 山口美琴
    手花火や桃の印のマッチ箱 清水恵山
山 口 美 琴 選 
  それぞれに草の匂ひや草いきれ 森戸しゆじ
    晩夏光街見下ろして八合目 木村宏一
   流れ星願ひを声に出して見る 石川順一
   木漏日の甘きみちのく韮の花 橋本幹夫
   葉陰にも風に乗せられ糸蜻蛉 志村万香
   遅れ来て手もとせはしき秋扇 池下よし子
  凋みても明日をまた待つ花木槿 清水恵三
     露草や束の間の藍輝かせ 筒井省司
     朝顔の雨に冴えたる濃紫 後藤允孝
    文月も一筆箋にこと足りて 白根鈴音
 
山 縣 伸 義 選
   謹厳の恩師の訃報ちちろ鳴く 池下よし子
   遅れ来て手もとせはしき秋扇 同
  白桃の水をはじけて浮かびけり 同
   控へめに茗荷の花の白さかな 山口美琴
    八月や宿題終へて子の笑顔 同
    青鬼灯村を巡りて橋ひとつ 春生
   赤き花咲き乱れたる暑さかな 同
  瓢の笛何の気なしに吹けと言ふ 田村公平
   遠花火ホームに独り電車待つ そうびん
    虫干しや我が青春にLP盤 瀬尾睦夫
 
石 川 順 一 選 
     病葉や煩い癒す風ありぬ 木村宏一
    梅花藻を覗く水路の水速し 同
    急ぐなと山車を諌める祭髪 田村公平
  踊り場がねぐらとなりし秋の蝉 同
    手花火や桃の印のマッチ箱 清水恵山
  莢を打つ唄のリズムに小豆跳ぶ 同
   片陰に行列をなすラーメン屋 そうびん
    川あればそこに橋あり星祭 後藤允孝
山の香のぎゆうぎゆう詰めのお中元 橋本幹夫
     底紅や箪笥に残る由緒書 池下よし子