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10句選 選句者11人
20/2014b/06
橋 本 幹 夫 選
     郭公の声降るダムの遊歩道 筒井省司
     黒南風や沖の白波暮れ残る 山縣伸義
     父の日や鯛の刺身と吟醸酒 足立山渓
    サングラスかけて僧侶の黒鞄 池下よし子
      夕影を抱く白蓮眩しかり 後藤允孝
    辣韭とカレーの匂ふ膳に着く 清水恵山
      若竹の風遊ばせてゐる梢 瀬尾睦夫
   雨傘の絵柄浮き出て梅雨に入る 山口美琴
  万緑に丹塗りのひさし羽ばたきぬ 木村宏一
     焼酎を夕暮に飲む独りかな 石川順一
 
清 水 恵 山 選
 パレットやあぢさゐの色決めかねて 森戸しゆじ
      泰山木高さに秘仏花の芯 木村宏一
     山繭や安曇野どこも水の音 石崎そうびん
     土砂降りの雨六月の夜明前 橋本幹夫
     紫陽花の球を太らす粉糠雨 駒田暉風
    極まりて天道虫の飛び立てり 渡邊春夫
     夕星やくちなし匂ふ坂の町 池下よし子
    紫陽花や天より受くる色模様 山口美琴
     磯の香のただよふ渚星涼し 後藤允孝
    追われ来し自刃跡とや草茂る 田村公平
 
山 縣 伸 義 選
      尼寺へ狭き磴なり額の花 石崎そうびん
     吊忍揺れて小さき風生まれ 同
    大掃除したかの如き梅雨晴間 田村公平
      菖蒲園段差に弱き車椅子 同
     母偲ぶ琥珀色なる梅酒かな 木村宏一
    眠る子にそつと被せる夏羽織 橋本幹夫
 初生りの胡瓜を*も*ぐに躊躇ひし 池下よし子
   馬鈴薯の花果てしなき大地かな 清水恵山
    梅雨曇何はせずとも庭手入れ 筒井省司
   赤んぼの寝かされてゐる夏座敷 瀬尾睦夫
 
瀬 尾 睦 夫 選
     吊忍揺れて小さき風生まれ 石崎そうびん
      制服の白のまばゆき更衣 池下よし子
    外に出でて肌の息する夏の朝 山縣伸義
  田をあがりおしへられたる足の蛭 清水恵山
  万緑に丹塗りのひさし羽ばたきぬ 木村宏一
      大輪が名札を隠す花菖蒲 田村公平
 パレットやあぢさゐの色決めかねて 森戸しゆじ
    紫陽花や天より受くる色模様 山口美琴
     鬼灯の花や罪なき夜雨来る 橋本幹夫
    梅雨曇羽黒蜻蛉をじっと見る 石川順一
森戸しゆじ 選
      蝸牛何処に急ぐにはか雨 木村宏一
   でで虫は家の重さに耐へて這ふ 駒田暉風
     川沿ひに続く札所や夕河鹿 石崎そうびん
        筒抜けの噂話や籠枕 橋本幹夫
    そぞろ歩の疏水の小径若葉風 池下よし子
    紫陽花や天より受くる色模様 山口美琴
     田水張る千枚田みな山映し 清水恵山
    大阿蘇に赤牛の散る夏野かな 田村公平
     黒南風や沖の白波暮れ残る 山縣伸義
      若竹の風遊ばせてゐる梢 瀬尾睦夫
 
池下よし子 選
     がうがうと膨らむ闇や牛蛙 森戸しゆじ
      蝸牛何処に急ぐにわか雨 木村宏一
    三川を自在に行き来夏つばめ 石崎そうびん
        筒抜けの噂話や籠枕 橋本幹夫
     磯の香のただよふ渚星涼し 後藤允孝
     父の日や卓に残れる鯛の骨 足立山渓
   馬鈴薯の花果てしなき大地かな 清水恵山
    大阿蘇に赤牛の散る夏野かな 田村公平
  まつすぐに夜店の町を抜けて来し 渡邉春生
      若竹に風遊ばせてゐる梢 瀬尾睦夫
 
筒 井 省 司 選
    紫陽花や天から受くる色模様 山口美琴
     母偲ぶ琥珀色なる梅酒かな 木村宏一
     ぼた山のいまは緑に遠賀川 池下よしこ
     田水張る千枚田みな山映し 清水恵山
    クールビズ緑の風を孕ませて 渡邉春生
     雨の木場浮かぶ丸太に蝸牛 石崎そうびん
     父の日や鯛の刺身に吟醸酒 足立山渓
    焼酎を夕暮れに飲む独りかな 石川順一
     磯の香のただよふ渚星涼し 後藤允孝
   馬鈴薯の花果てしなき大地かな 清水恵山
 
後 藤 允 孝 選
       黒南風や暗峠歩を速め 木村宏一
    三川を自在に行き来夏つばめ 石崎そうびん
     早乙女の束ねし朝の黒き髪 橋本幹夫
       箒目の著き境内青葉風 足立山渓
     ぼた山のいまは緑に遠賀川 池下よし子
     梅雨晴間園庭に児ら声弾む 山口美琴
      畦道に燃えて華やぐ虫篝 清水恵山
     郭公の声降るダムの遊歩道 筒井省司
      大輪が名札を隠す花菖蒲 田村公平
    クールビズ緑の風を孕ませて 渡辺春生
木 村 宏 一 選
     がうがうと膨らむ闇や牛蛙 森戸しゆじ
     土砂降りの雨六月の夜明前 橋本幹夫
     父の日や卓に残れる鯛の骨 足立山渓
   雨傘の絵柄浮き出て梅雨に入る 山口美琴
    畔に穴あけて豆植う手際かな 清水恵山
     郭公の声降るダムの遊歩道 筒井省司
      大輪が名札を隠す花菖蒲 田村公平
    クールビズ緑の風を孕ませて 渡邉春生
     夏草や隠れて見えぬ石地蔵 後藤允孝
     黒南風や沖の白波暮れ残る 山縣伸義
 
山 口 美 琴 選
 パレットやあぢさゐの色決めかねて 森戸しゆじ
     母偲ぶ琥珀色なる梅酒かな 木村宏一
     吊忍揺れて小さき風生まれ 石崎そうびん
        筒抜けの噂話や籠枕 橋本幹夫
     夕星やくちなし匂ふ坂の町 池下よし子
     田水張る千枚田みな山映す 清水恵山
     郭公の声降るダムの遊歩道 筒井省司
       風紋や浜昼顔の花言葉 後藤允孝
     山梔子の匂へる花の夕明り 山縣伸義
      若竹の風遊ばせてゐる梢 瀬尾睦夫
 
石 川 順 一 選
    短夜の読経の中に日の出待つ 田村公平
      高床の家取り囲む夏木立 同
     あぢさいや浮気心の長電話 瀬尾睦夫
   値踏みして両手に重き西瓜かな 同
   薄墨を天に敷き詰め梅雨に入る 白根鈴音
   初採りの胡瓜にもろみひとり酒 筒井省司
     緑陰にすずめと鳩と乳母車 池下よし子
       水替えて色蘇る水中花 石崎そうびん
    長雨に掃いても溜まる竹落葉 志村万香
   青梅雨や赤き農小屋ひっそりと 山口美琴