9月17日 開催
飛火野の空拡げゆく赤蜻蛉 松山寿美
鉦叩一間の闇を叩きをり
紫蘇の実をしごけば仄と香り立つ
仰ぎ見る塔の靄ひて秋黴雨 西村舟津
十三塔傾ぎコスモス揺れやまず
古都暗らめ降りみ降らずの秋の雨
芒の穂風の高さを捉へけり 稲福昌一
来し方の悔多かりし走馬灯
水馴棹返して月の渡船
残る蚊の一匹といへどあなどれず 林
雄次郎
色草をしなやかに風渡りゆく
逆らふといふこと知らず秋桜
赤とんぼ夕日に翅を返しつゝ 長嶺 勇
草庵の静寂破りて添水鳴る
名も知らぬ千草の花を手折りけり
夜業の灯額に篆刻孜々と彫る 野田ゆたか
喜寿といふいざよふ月に似たる日々
恙なく嶺に入る日や厄日過ぐ
・・・・・ 選者 岬 忠 詠 ・・・・・
薮騒の募り嵯峨野の秋時雨
舟舫ふ雨後の桟橋涼新た
書に倦みて独りの夜長もて余す
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赤とんぼの俳句 飛火野の空拡げゆく赤蜻蛉 松山寿美。鉦叩きの俳句 鉦叩一間の闇を叩きをり 松山寿美。紫蘇の実の俳句 紫蘇の実をしごけば仄と香り立つ 松山寿美。秋黴雨の俳句 仰ぎ見る塔の靄ひて秋黴雨 西村舟津。コスモスの俳句 十三塔傾ぎコスモス揺れやまず 西村舟津。秋の雨の俳句 古都暗らめ降りみ降らずの秋の雨 西村舟津。芒の穂の俳句 芒の穂風の高さを捉へけり 稲福昌一。走馬灯の俳句 来し方の俳句 来し方の悔多かりし走馬灯 稲福昌一。月の渡船の俳句 水馴棹返して月の渡船 稲福昌一。残る蚊の俳句 残る蚊の一匹といへどあなどれず 林雄次郎。色草の俳句 色草をしなやかに風渡りゆく 林雄次郎。秋桜の俳句 逆らふといふこと知らず秋桜 林雄次郎。赤蜻蛉の俳句 赤とんぼ夕日に翅を返しつゝ 長嶺 勇。添水の俳句 草庵の静寂破りて添水鳴る 長嶺 勇。千草の花の俳句 名も知らぬ千草の花を手折りけり 長嶺 勇。夜業の俳句 夜業の灯額に篆刻孜々と彫る 野田ゆたか。月の俳句 喜寿の俳句 喜寿といふいざよふ月に似たる日々 野田ゆたか。厄日の俳句 恙なく嶺に入る日や厄日過ぐ 野田ゆたか。秋時雨の俳句 薮騒の募り嵯峨野の秋時雨 岬忠。涼新たの俳句 舟舫ふ雨後の桟橋涼新た 岬忠。夜長の俳句 書に倦みて独りの夜長もて余す 岬忠。2015年(平成27年)月の同人俳句結社「木津川俳句会の月例句会の開催報告です。句会同人は、有季定形・文語(旧仮名遣い)を以て伝統的手法で俳句を詠んでいます。管理人は、清月庵主・野田ゆたかです。