左側すぐのところは鐘楼があって破鐘の由来の書かれた立札が立っている。しかし鐘楼の入口には結界の鎖があり登壇を拒んでいる。
鐘楼の空晴渡り冬紅葉 ゆたか
由緒の破鐘は、この寺内に有ったものを駅周辺の公園に移設されている。一隅に聳える黄金色の大銀杏は四囲を圧し由緒ある寺院に相応しい風格を備え、訪れる人々の眼を引きます。
破鐘の歴史たぐれば黄葉散る 窓城
生源寺から更に上った所にある竹林寺の大庭園は背後にある山を借景にして自然の起伏を生かし岩清水を泉水に取り入れ、高みには自然の楓や橡などの紅葉が見事な色合を見せている。
比叡晴れ竹林院の初時雨 佐知
泉水のほとりには綺麗に手入れされた大きな赤松と、常緑樹があり手前の方には躑躅と庭石を配し、二棟の四阿も巧みに配置され安らぎの空問を作っている。
箒目に落葉許して竹林院 多津子
句会場となった数奇屋風の茶室は、庭に面した濡縁を障子で仕切り、床の間も二箇所作られ天井の樟縁も角竹を使うなど茶室としての寂び佳びの雰囲気を造る工夫がなされている。
紅葉また黄葉よ院の茶室まで 浩
当日は、天候が微妙に変化し、初時雨、小春、小六月等時間と場所に応じて用いられ、また落葉あり、半ば紅葉しているものから紅葉のはじまったものまで多種多様で句材には事欠かなかった。
すぐ晴れて片時雨とも日照雨とも ゆたか
この地に伝わる歴史の上辺しか知らない者にとっても、大自然と石組みの調和した街並みを散策していると僧兵の闊歩していた往時にタイムスリップした気分にさせられるのであった。
歴史秘め日吉参道初時雨 静代
屏風絵に公人の盛時偲ばるる とも江
今回の吟行句会が皆様方のご協カとご理解により無事終了出来ました事を感謝致しますと共に、吟行に慣れない私にとつて良い勉強になり意義ある句会あった事を心から感謝レたします。
筆者 前川嘉風
詠
山茶花の白さを散らす歩道かな
里坊に石垣連ね石蕗の花
清流の走る門前柿落葉
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