長浜大通寺盆梅展吟行記
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平成22年2月10日  長谷山由美
 2月10日(日)は引鶴恒例の吟行で、今回は今津の当番となった。昨日は低気圧が日本列島を直撃したため、当地の近畿北部は勿論大阪や京都で、また東京でも久しぶりの雪となった。
 
 この様子では明日の吟行は大丈夫かと心配されたが、倖いな事に早朝の寒さを忘れるほどのあたたかい太陽が昇った。
 
 私の吟行参加は久しぶりなので、以前に知り合った泉大津の人達や、大阪の人達と会えるのが楽しみでした。
 
 集合地はJR琵琶湖線長浜駅で、少し早く行き待っていると、泉大津句会の恭生先生が一番に改札を出てきました。吟行案内では10時6分着となっていましたが、本当はもう少し早い時間だったようです。
 
二時間の快速電車雪景色 恭生
     
盆梅展誘ふ駅のアナウンス 由実
 
 そうこうしている間に佐知先生はじめ面々の顔が揃い、総勢18名となりました。万が一遅れてくる人があってはいけないので、浩さんと私は10時38分着の電車まで待ちましたが、結果は18名でした。
 
 この長浜の地は、秀吉が初めて一国一城の主となった地で、それ以外にも芭蕉の足跡など紹介したい事は沢山ありますが、ここでは割愛します。
 
 句会の方達は集合地は大通寺前の食堂「良太郎」と決め、長浜の町歩きマツプを持ってそれぞれ街中へ散らばって行きました。
 
春の雪湖北吟行なればこそ 窓城
   
街歩きマツプ片手の冬帽子 浩
   
小物屋のあればのぞきて春の町 寿美
 
 私は黒壁のガラス飾や、まち家サクセス横町等を見て「良太郎」に入りました。
 
雪雫上手に避けて街歩き 由美
  
華やぎてガラスの雛のおちょぼ口 宮子
  
ガラス雛小さな目鼻整へて 雍子
 
 昼食のあと、句会場となる大通寺へ行くのですが、この大通寺は戦国時代のはじめ、浄土真宗の中興の祖と仰がれた蓮如上人は、他力念仏の教えを広げるため全国を遊化して、近江の国はその布教活動の最大の拠点であった。
 
 元来信仰心の篤い土地柄でもあったため蓮如上人の教えは、瞬、く間に近江全域に広藁がった。なかでも坂田、浅井、伊香の湖北三郡は、真宗王国灘と呼ばれるほどまでに教えが広がって行きました。
 
 その湖北三郡の真宗寺院の中核、それが「長浜の御坊さん」と呼ばれて湖北の人々に親しまれる大通寺です。
 
 その後信長、秀吉、徳川の時代の変遷を経て、ここに、当大通寺は真宗大谷派の別格別院として、7000坪の境内で、名実共に当地方における信仰と、伝道との要として重きをなし、今日に至っています。
 
重文の長浜御坊雪解風 美和子
  
重文の門の威見上ぐ雪明り 不二子
   
鐘つきし手をさすりたる余寒かな 和子
 その大通寺の山門を潜り受付を済ませた後、昨日より始まった「馬酔木」展と本堂をはじめ鞘の間、新御座、含山軒とあり、その含山庭から天気が良ければ借景で遠く伊吹山を望める。
 
そこここの雪解雫の調べかな 佐知
  
山門の龍の眼の冴返る 澄子
  
しづり雪落下山門打ち仰ぐ とも江
 
 一同見えた、見えぬで大騒ぎをして句種を提供していたが、心眼をもって解決したものと思います。
 
借景は残雪伊吹なる古刹 佐知
  
借景の雪の伊吹嶺幽かなる 浩
  
伊吹山春雪積みて日を返す 和子
 
 また、寺内には多くの馬酔木の鉢が置かれ、梅とは違った鳳景を提供してくれました。
 
鉢に咲く馬酔木半身に生きてをり 佐知
  
緋の蕾万と抱きて馬酔水展 宮子
  
盆栽の年月の技花馬酔木 幸子
 
 中には400年と言う、人の一生を遥に越えたものもある事を知り驚かされました。
 
 句会場は広い畳部屋で、「桜の間」とあり、外は昨日の雪が残っていましたが、嘘のような暖かさであった。これは先程見た馬酔木の花や寺のたたずまい、特に狩野派の絵や円山応挙の襖絵に圧倒されたこともあったと思います。
 
方丈の庇せり出す雪解かな 寿美
  
蘭亭の応挙襖絵冴返る 不二子
  
本堂の広さに潜む余寒かな 多津子
 
 私は投句の締切りである1時半には句が揃わず、殿りに投句を済ませ、選句が始まりました。それに続いて浩さんの披講、佐知先生の丁寧な句評もあり無事2月の吟行も了えることが出来ました。
 
 久しぶりに参加させていただいた吟行でもあり、快い疲れと安堵感で一杯でした。今後もチャンスがあれば是非参加させて貰いたいと思っていますので何卒宜しくお願いします。
 
 
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長浜盆梅展が紹介去れているホームページ
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