近江舞子雄松崎吟行記
haidan-06.gif haidan-05.gif
平成19年3月11日  前川嘉風
 3月11日近江舞子方面の吟行にお誘いを受け私も参加させて頂く事となりました。
 
 当日の未明にはごうごうと音を立てる雨風で、果たして吟行が予定通りできるのかどうか危ぶまれる状況でしたが、我が家を出かける頃には風雨も少し弱まり、時々雨に雪が混じる中、近江舞子を目指したのである。
 
 湖西線近江舞子の駅前で、先着の貫野氏、森本氏と、女性2名の方々がウインドキューブから駅へ引き返された所に、ぱったり出会い私も含めた5名で、湖西線で来られる御一行を待つ事にしたのである。
 
 時刻表を見ながら今か今かと落ち着かず、時の移らぬもどかしさを感じながらも、西の方に目を向けると比良連峰は高く聲え立ち、吹き下ろす風は雪を交えて容赦なく駅の構内を吹き抜けていた。
 
 東の方に目を転じると琵琶湖の対岸も見え隠れして、時々雲の切れ目から青空が覗く空模様に一綾の望みをかけながら、眺めていたのである。
 
 9時41分着の電車で御一行が元気に階段を降りて来られたので、我々もほっとした気持ちで迎え休む間も無く、吟行を開始して湖岸の方へと向かったのである。
 
 右に冬鳥のまだ沢山残っている内湖を見ながら歩んで行くと、上空には早くも燕の飛び交う姿も見られ、闌けた猫柳の岸辺には菖蒲の若芽が5・6センチ程に育っているのもあった。
 
 陸に揚げられたボートの脇には蓬が顔を覗かせ桜の蕾は固いながらも、総てが春めく中それぞれがメモを取ったりしながら雄松崎の方に進みましたが、湖からの寒風に耐えられず駅舎の方へ引き返し、一路ウインドキューブヘと向かった。
 
 着いて見ると其処は、一見鄙びた山荘を思わせるような造りで、内装も重厚な構造材の自然の味を生かした中に、煉積みのどっしりとした暖炉、テーブルや椅子も手作りの感じであった。
 特に椅子の背もたれに至っては木の枝の曲がり具合を巧みに組んだ、野趣のある傑作で部屋の造りと調度品の調和がとれ、全体に落ち着きのある癒される雰囲気の和風レストランと云った処であった。
 
 薪を焚く暖炉の柔らかな温みの部屋に入り、暖かいお茶を頂きながら吟行のメモを元に夫々が俳句の纏めに余念のない時間にも、また昼食の美味しいカレーライスを頂いている時も、見渡す琵琶湖の刻々と変る景色。
 
 見える沖ノ島や対岸の山並みに日が射すかと思えば雪雲に覆われる様、鳰や残る鴨の動きなどは見る人達の目を楽しませると同時に句作の資料として活用された事は申すまでも無い事である。
 
 夫々の方の俳人としての物の見方、観察の深さ、視野の広さ、洞察の深さ、等々と、それ等を生かした、表現の巧みさ、妙味のある作品が随所に見られた事からも、ある程度は吟行の目的に添えたものと解釈する処であります。
 
 同時に唯ただ感心するばかりの私にとっても良い勉強をさせて頂く事のできた貴重なひと時だったのである。
 
 終日寒さが収まらない一日でしたが、暖炉の暖かい炎を眺めながら、和気謁々の内に実りある吟行俳句会が開催できた事は、諸先生方のご指導と各位のご協力の賜物に他ならず、衷心より感謝申し上げる処であります。
 
 最後になりましたが貫野氏の一方ならぬ御配慮と奥様の裏方としての立ち回りと、細やかな心尽くしには言葉には尽くせぬものがあり、心から御礼申し上げるところです。
 
 亦ウインドキューブの心のこもったサービスに対し、皆様と共に御礼申し上げ、私の吟行記と致します。
 
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
雄松アが紹介されているホームページ
https://www.biwako-visitors.jp/spot/detail/2554/