芽吹き初めたところで近付くほどに綺麗で枝が縦縞になって風に揺れると色が滲む様である。それに惹かれて暫くの間行きつ戻りつ見上げたりを繰返したが、結局は句として纏まらず前に進む。
しばらく行くと川が分岐しその上が、石津渓として地元の石津川の渓流をイメージした流れは緩急織り交ぜた流れとなっている。この辺りから庭園は広くなり前方に四阿が見えてくる青苔亭である。
丈夫そうな八ツ橋が掛けられています。此処は初夏には花菖蒲や杜若が咲き乱れる所で、今は咲き残った梅が河畔にあるだけである。さらに湖ると源流の水が活々と流れ出している。
此れより歩道は狭くなりゆるい坂を登ると一気に広場に出て、今までとは一変した石張りの歩道と芝生敷きの桃源台で、泉北丘陵を表しており平和の象徴である桃源郷には、桃の白い花が今を盛りと咲き乱れている。
ここの面積は430坪程の広場である。その中流杯亭と言う建物があり中国の友好都市から贈られた石に曲水を模した小さな水路を刻み水を引き入れて流せるようにしている。
広場の周囲三方はブロックを40糎ほど積み上げ高さ120糎位で、面積は120坪にも及ぶ花壇であり、総株数は600株と言う牡丹で埋められている。折りしも、全ての株枝より真っ赤な芽が燃え立って居る様は壮観である。
出揃ひてぼうたんの芽の満を持す 恭生
牡丹の時季に又訪れる事を心に約して未だ行ってない傘亭、盧山、甘泉殿へと来た道とは反対の道を歩む事とする。道道に色々な草木が植えられ年間を通じて必ず何かの花を楽しむ事が出来る様になっている。
先ほど見入った糸柳を今度は反対側から眺める、芽柳のカーテンを透した向うの池泉に迫出した休憩舎の景色も、空の蒼さと相俟って格別である。坂を登ると傘亭がありこの庭園を見下ろせる一番高い所にあります。
ここからは上流部の桃源台から全てが見渡せるようになって居ます。次は盧山でなだらかな山で中国江西省の名勝盧山を模して造られた築山で、一面おかめ笹に覆われているのが印象的です。
道は池の縁まで下りると飛び石状になっていて、直ぐ左上から滝が落ちるように造られています。そこを渡ると赤の柱に青の瓦で如何にも中国風の四阿で甘泉殿といいます。
この向いには島を挟んで休憩舎が見え、島には昨年飛べなくなった雄の鴨が降り最近一羽のやさしい雌の鴨が降りたち番となったとの事、今、島の上で羽を休めて居るようです。
道端には沈丁花が開きかけた所で近付くと灰かな香りが漂っております。少し行くと休憩舎に戻ります。
餌をもらふ鯉春水を盛り上げて 恭生
丁度弁当を外の道路まで取りに来るようとの電話があり、圭子さんに手伝って頂き、名代の穴子鮨を配り昼食後の締め切りで清記、選句と順調に運び、披講を幸子さん、静代さんに手助けして頂き舟津さんの披講と続きました。
最後は西崎佐知先生の懇切丁寧な御指導があって句会を終了しました。有難うございました。
今日の吟行は殆んど日本庭園一ヶ所で広い大仙公園の一部しか見る事はできませんでしたが他に博物館、千利休縁の茶室、緑化センター、履中陵等見るものは多く、交通の便も良く訪れ易い所ですので、是非また訪ねてください。
その外の筆者の詠句
防鳥網飛出してゐる牡丹の芽 恭生
園丁の矜持にかけし牡丹の芽 恭生
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