道頓堀界隈吟行記
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平成19年12月9日  門田窓城
 12月9日(日)は引鶴恒例の吟行であるが、昨年に次いで忘年句会とし、治兵衛道頓堀店で行われた。
 
 予報には反するが引鶴吟行としては、いつもの通りの好天気で冬帝の機嫌は損なっていない。 集合は12時と決められていて、それまでは自由散策。
 
 私は先ず会場へ行き、予定人員27〜9名を告げてから法善寺へ行く。早くも多くの句友がお不動様に水を掛けて一心にお願い事をしている。熱心なものである。
 
 横丁も昨年は普及途上であったが、今年は完成し寛美の横丁看板も上がって相変わらずの賑やかな横丁である。
 
着ぶくれて水掛不動の列に付く とも江
   
横丁の北風吹き抜くる石畳 多津子
  
金輪際枯らさぬ苔の不動尊 窓城
 
 道頓堀の辻の蟹道楽の蟹も塗装を新たにし脚や鉗脚を光らせている。それにしても老若男女人が多い。
 
 五座のうち残っている松竹座は、新喜劇公演の立看板が出ていて家族連等列を作っている。相変わらずの人気であろうか。
 
 又くいだおれの人形は何10年来の愛嬌である。だが人で満ちている通りの中央を占める自転車の群はどうしたものか。大阪人の心の驕りと云わずして何だろう。
 
 無神経も甚だしいと思う。途切れたところのベンチを楽しむ人達を大切にしてこその道頓堀であると思う。
 
 それらはさておき新装なった戎橋から仰ぐグリコの広告塔は、タイガースのユニホームを脱いで本来の元気な姿に甦っている。
 
戎橋師走の街に話題呼ぶ 澄子
  
人人人改修なりし戎橋 窓城
  
戎橋渡初めして忘年会 佐知
 
 遊歩道に下りゆっくり歩いて行くとエビスタワーである。ややこしい店内を通って観覧車に乗る。丁寧に案内されたゴンドラ、考える間もなく回転、目前の大阪が眼下に遠ざかる。
 
 冬日燦々、浪花を一望にして気分爽快である。遊歩道の人に手を振って応えてくれる。大阪人の陽気さである。
 
冬麗や日射し隈なき観覧車 寿美
  
師走風どこ吹く風と観覧車 美智子
  
年惜む商都浪速を俯瞰して 佐知
 
 再びせからしい地上である。千日前から西に入り少し行くと黒門市場で、年も詰まってくると大変な賑わいになる。しかし今日はまだ早いのかそれ程でもなかった。
 
 
吟行はやはり黒門河豚を見に 道子
   
富山発寒ぶりの艶黒門町 雄次郎 
    
手際よし河豚の店先人だかり 紀子
 
 商都大阪の真ん中道頓堀の師走を再び通抜けて、金色に輝く銀杏黄葉の御堂筋を横切らねばならない。なかなか変わらない信号に苛立ち始めた頃、横断歩道の信号の下に「あと○秒」の文字が現れた。
 
 洒落た信号の心遣いに心が和む。初の経験であり、交通界に於けるアイディア賞ではあるまいか。
 
信号待ち何秒と出る町師走 美和子
 
目を見張る銀杏黄葉の残り映え 岸野幸子
 
ふらふらと年末ジャンボ買ふ列に 恭生
 
 三々五々の散策吟行も、集合時刻が近くなると集まってきて、それぞれに席を占める。なお句をひねる人、推敲する人、お喋りをする人、今日一日での最も気安く楽しい時間なのである。
 
 最終人数は30人となり忘年会が始まる。
 
  1、主宰挨拶
  2、浩氏の200号記念祝賀会の概要と協力要請
  3、木賊氏の音頭による乾杯
 
主宰の御好意による飲み放題、和気あいあいの歓談、宴会となる。 
 
新しき句友も二三忘年会 とも江
  
老いの胸はりて元気に忘年会 知子
   
酔ふほどに心円かに年忘 多津子
 
 デザートも出て忘年句会となりました。
 
二〇〇号心寄せ合ふ納句座 濃菊
  
ひそやかに競ふ心も納句座 静代
  
祝儀迎ふ力を貯めて納句座 窓城
 
 今日の主宰は選も句評もいつもと打って変わって、柔らかく没の人もなく和やかに句会を終わりました。
 
 新しい年の平和と発展を祈りつつ吟行記の筆をおきます。
 来年の吟行にも多数ご参加ください。
 
 
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法善寺横丁が紹介されているホームページ https://www.travel.co.jp/guide/article/18379/ 
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