岸和田城吟行記
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平成18年4月9日  岸野幸子
 4月9日の引鶴恒例の吟行は花の岸和田城で、城入口に午前10時集合と決められていた。私達泉大津の句友はほぼ30分前に到着、世話役の恭生先生は早くから待って下さっていたらしく一安心でした。

 今日は丁度、市の「お城まつり」で種々行事が予定されているらしく、既に賑わい始めている感じである。
 
 桜も満開、天候にも恵まれ、花下は青いシートが余地なきほどに敷き詰められ、家族連れ、グループが花見席を確保し、メンバーの揃っている所、まだ場所取の一人がつまらなさそうに本を読んでいる等いろいろである。
 
 又祭店がずらりと並び、忙しく人が行き来している。

 岸和田城は別名を「千亀利城」と呼び、1334年頃楠木正成の一族和田高家が築城したのが始まりと伝えられ、その後1585年、秀吉の叔父小松秀政が城主となってより五層の天守閣が築かれ、ほぼ城郭が整備されたとのこと。
 
 江戸期に入るや松平氏2代を経て、高槻から岡部宣勝が入城し、以後岡部氏が13代明治維新まで岸和田藩5万3千石を治めてきた。

 この間天守閣は落雷によって焼失し、他の城郭は明治期に取り壊されて、残っていたのは石垣と濠の一部のみでしたが、昭和29年鉄筋コンクリート造りで天守閣が、44年には城壁と櫓が再建されて現在に至っている。

  現在の天守と隅櫓は、記録による復元と云えないが往時を偲ぶよすがにはなっている。10時過ぎ大方の人員が揃ったところで城に入る。
 
すぐのところに大甑釜が口を開け、その大きさに当時の城内の賄いの凄さに改めて驚かされる。驚ろく間もなく、高く現れたのが復興の三層天守閣で、白壁に浮く最上層の唐破風、12層をつなぐ千鳥破風が何とも美しい。
 
 その天守閣の前が、かの有名な八陣の庭であり、周囲は花爛漫である。

 天守閣の入口横では老若男女10人程による邦楽演奏(琴と尺八)がされており、すぐ近くに野点席が設けられて、花に緋毛氈が映え、和服姿の美しい娘さん達、これぞ日本の美と称讃するに足る景であり心が落ち着く。

 ゆっくりと天守閣に登る。東西南北視界が拡がっている。空港島も茅渟の海も遠霞、見える筈の淡路島も定かでない。黄沙かも知れないと思っていると、昨日はこんなものではなかった。
 
 確かに霾であったと誰かの声。目を城内に戻す、暫くは俯瞰の八陣の庭に視線を奪われる。
 
 中国兵法の八陣法をテーマとして大将を中心に天、地、風、雲、龍、虎、鳥、蛇の各陣を配したものとかで変幻自在の幾何学模様に、それぞれの石組、真白の砂紋を描いて海の中の蓬莱を表現したものと説明されている。

 天守廻廊の角を歯ると正面からの強東風があって慌てて天守上階から下りる。
 
 郷土資料館には岡部藩主歴代の遺品や、菩提寺に安置されていた、やさし.いお顔の阿弥陀像、武具、鎧、兜等が展示され、又町の匠の陶芸展も催されていた。

  天守閣を出て、角櫓と思はれる建物は考古資料展示場で、発掘採取された石器、土器、勾玉、瓦、鴟尾の破片等が展べられ、二の丸公園では、所狭しと敷かれたシートでは花の宴が今や酣で振やかな事。
 
 又ミニチュアの地車も出され、だんじり太鼓を樂しんでいる地車の若衆もなかなかの風情である。又園児と思はれる幼児が可愛い祭衣裳で募金活動をしていて、私もと行ったがべそをかいている。お返しの緑の羽根が無くなったのだと云う。
 
 募金が集まり過ぎたのである。大した子供パワーである。多聞櫓の表示があって櫓風の建物があるので行ってみるとトイレであった。必要な設備に違いないが興醒である。

  吾々の面々とは俳人で、花莚の裏の奥まった林の中で爽雨句碑を見付けたと云う。御熱心なこと。

  岸和田と云へば兎も角、だんじり祭である。ここで一寸触れておきます。
 
 この祭の歴史は、元禄16年9月27日、岸和田城主岡部長泰公が伏見稲荷を城内に勧請して五穀豊穣を祈り、当日庶民を域内に入るを許したのが最初で、庶氏はだんじりを曳いて域に入ったと云う。
 
 それ以来旧8月12・3日、明治以後は新暦9月14・5日に行はれ、それはそれは勇壮な祭です。14日の朝地車を清めてから巡行し、句会場となった岸城神社へ14台、岸和田天神へ5台宮入りします。
 
 身動きもとれない程の人出となります。一度は御来駕をおすdめします。私達も祭太鼓に囃されて、食事をすませ句会場の岸城神社へ、杜務所の奥の広い静かな洋間でした。
 
 1時30分締切、主宰の佐知先生の句評、御指導のもと、28人の和やかな句会となりました。
 
 初めての方、久し振りの方、とても樂しく勉強させて戴き、佐知先生、恭生先生、役員の方々厚く御礼申し上げます。又遠路より多数御参加下さり有難う御座居ました。 
 
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岸和田城が紹介されているホームページ
https://www.city.kishiwada.osaka.jp/soshiki/36/kishiwadajyo.html