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10句選 選句者 10人
橋 本 幹 夫 選 
     吉野川夜さりに掬ふ鰻稚魚/後藤允孝
     老舗にて軋む二階家泥鰌鍋/池下よし子
    ソーダー水初恋甘き頃をふと/清水恵山
    サイダーの泡に弾けて若き恋/瀬尾睦夫
    白靴にデッキブラシの実習生/田村公平
     紺碧の海へ川藻を刈り進む/渡邊春生
   炎昼や日時計のかげ痩せほそり/木村宏一
      稜線の雲移りゆく青田風/筒井省司
       教会の坂道長き青時雨/山口美琴
   手を振つて歩くのが好き雲の峰/橋本幹史
 
瀬 尾 睦 夫 選
   お茶請けに伸びる手元や汗手貫/木村宏一
     打水や小さき風が生れけり/駒田暉風
     青田波東西分かつ美濃の国/石崎そうびん
      剛力の二の腕太し富士詣/橋本幹夫
 ありがたうは別れのことば沙羅の花/池下よし子
     遠き日に我も待ちたる海開/山口美琴
    もてなしは掬ひあげたる洗鯉/清水恵山
    老いたるも血気盛んに暑気払/筒井省司
      軒下に線路工夫や三尺寝/田村公平
     坂道を上りつめたる玉の汗/後藤允孝
 
池 下 よ し 子 選 
    お茶請に伸びる手元や汗手貫/木村宏一
     締めにでる熱き一汁夏料理/石崎そうびん
   人はみないつかは土に梯梧咲く/橋本幹夫
     遠き日に我も待ちたる海開/山口美琴
      群落の梅鉢草や尾根近し/清水恵山
   球宴は居間でごろりと手に団扇/筒井省司
     蚊遣火を焚いて応援草野球/田村公平
     輪唱もソロもありけり雨蛙/渡邊春生
     坂道を上りつめたる玉の汗/後藤允孝
   手を振つて歩くのが好き雲の峰/橋本幹史
木 村 宏 一 選 
       閏秒数えて富士の山開/橋本幹夫
     老舗にて軋む二階家泥鰌鍋/池下よし子
     遠き日に我も待ちたる海開/山口美琴
      群落の梅鉢草や尾根近し/清水恵山
      稜線の雲移りゆく青田風/筒井省司
     輪唱もソロもありけり雨蛙/渡邉春生
      踏切の矢印長き暑さかな/田村公平
  病む母の分までくぐる茅の輪かな/後藤充孝
      次々と生まれる光炭酸水/瀬尾睦夫
     打水や小さき風が生れけり/駒田暉風
 
森 戸 し ゆ じ 選
     万緑の上に真白な城浮かぶ/清水恵山
      群落の梅鉢草や尾根近し/同
     打水や小さき風が生れけり/駒田暉風
     青田波東西分かつ美濃の国/石崎そうびん
 ありがたうは別れのことば沙羅の花/池下よし子
     遠き日に我も待ちたる海開/山口美琴
      稜線の雲移りゆく青田風/筒井省司
      軒下に線路工夫や三尺寝/田村公平
     大道芸大緑蔭をはみ出して/渡邉春生
  病む母の分までくぐる茅の輪かな/後藤允孝
 
山 口 美 琴 選
    貸し農園個性豊かにひね胡瓜/木村宏一
    打水や小さき風が生まれけり/駒田暉風
      大夕立去りて現る竹生島/石崎そうびん
   人はみないつかは土に梯梧咲く/橋本幹夫
 ありがたうは別れのことば沙羅の花/池下よし子
     万緑の上に真白な城浮かぶ/清水恵山
      稜線の雲移りゆく青田風/筒井省司
    夏帽子振ってて別れの練習生/田村公平
     輪唱もソロもありけり雨蛙/渡邉春生
  病む母の分までくぐる茅の輪かな/後藤允孝
筒 井 省 司 選
      閏秒数えて富士の山開き/橋本幹夫
     日めくりに赤き目印半夏生/瀬尾睦夫
      蝉穴も伺いながら庭掃除/田村公平
     遠き日に我も待ちたる海開/山口美琴
    万博の昭和はるけし合歓の花/池下よし子
      月見草咲きて門限急ぎ足/木村宏一
     坂道を上りつめたる玉の汗/後藤充孝
    片蔭やサイクル道路の案内図/森戸しゆじ
 輪に切ればパイナップルの香り満つ/清水恵山
    玉葱は紐で吊るされ風に揺れ/石川順一
 
田 村 公 平 選
    カーナビの右折左折も青田道/池下よし子
     義太夫の百面相や汗しとど/同
    貸し農園個性豊かにひね胡瓜/木村宏一
     青田波東西分かつ美濃の国/石崎そうびん
      養老の孝子伝説清水湧く/石川順一
    雨の日も咲きつぐ律儀日日草/筒井省司
     大道芸大緑蔭をはみ出して/渡邉春生
  病む母の分までくぐる茅の輪かな/後藤允孝
     知床の夏の炉端に帆立焼く/清水恵山
     島影に敵艦見ゆる鱒二の忌/橋本幹夫
 

清 水 恵 山 選 
    カーナビの右折左折も青田道/池下よしこ
      青空に夢の拡ごる青葡萄/橋本幹夫
    炎昼や日時計のかげ痩せ細り/木村宏一
       教会の坂道長き青時雨/山口美琴
    門前の風にひらめく夏のれん/田村公平
      大夕立去りて現る竹生島/石崎そうびん
     時計草書斎の窓に伸び上る/渡邊春生
    雨傘を干して大暑を迎へけり/瀬尾睦夫
     怒る人笑う人あり酷暑かな/後藤允孝
     夏の宵隅田の空は燃え盛り/筒井省司
 
石 川 順 一 選 
 
   母の世のうすものを着て宮参り/池下よし子
  ムニエルのバターの香りパリー祭/同
    天帝の光いきなり梅雨あがる/同
  あめんぼう右往左往のアートめく/同
      蝉穴も伺いながら庭掃除/田村公平
  垂れさがり憩ひの邪魔の毛虫焼く/同
      川べりの柳樹液に金亀子/清水恵山
 輪に切ればパイナップルの香り満つ/同
     鮮魚店蛸たこタコの半夏生/筒井省司
     怒る人笑う人あり極暑かな/後藤允孝