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10句選 選句者 9人
橋 本 幹 夫 選
    鷭の子の鳴き声探す夕まぐれ/木村宏一
       老鶯に犬吠崎の風強し/田村公平
     竹叢の昼なほ昏き走り梅雨/池下よし子
はまなすや沖のフェリーに露西亜文字/瀬尾睦夫
 グラジオラス天を目指して昇り咲く/山口美琴
  陽の恵みもぎて朝餉のミニトマト/筒井省司
      鮎鷹の直滑降の獲物かな/清水恵山
    夏至告げる二見の海の禊かな/後藤允孝
  伐られても伐られても大夏木かな/石川順一
    籐椅子の軋みに映る父母の影/白根鈴音
 
清 水 恵 山 選
     明易し戸締りをせぬ母の里/石崎そうびん
     夕焼や観光バスが加速する/石川順一
     黄昏れて花鬼灯に雨の降る/橋本幹夫
    くちなしを孫に教へし香かな/池下よしこ
     鳥の来て南天の花降り灌ぐ/山口美琴
     楊貴妃の白き睫毛か未央柳/筒井省司
      廃校に友情の碑や青葉風/渡邉春生
    出くわして日傘が回る立ち話/田村公平
      山に雨海に風呼ぶ男梅雨/後藤允孝
      咲き揃ふ紫ゆかし花菖蒲/瀬尾睦夫
 
池 下 よ し 子 選
  あぢさゐに埋もれて御座すご本尊/森戸しゆじ
   安曇野の水の匂へる梅雨入かな/石崎そうじん
       魂の限りに蜘蛛の力糸/橋本幹夫
 グラジオラス天を目指して昇り咲く/山口美琴
     南天の花や鬼門を明るくす/清水恵山
 陽のめぐみもぎて朝餉のミニトマト/筒井省司
     大阿蘇に赤牛沈む夏野かな/田村公平
   草刈つて子ども神輿を通しけり/渡邊春生
      山に雨海に風呼ぶ男梅雨/後藤允孝
はまなすや沖のフェリーに露西亜文字/瀬尾睦夫
瀬 尾 睦 夫 選
 お喋りの止まぬままごとアマリリス/橋本幹夫
    格式の老舗ゆかしき夏のれん/池下よし子
    園児等の内緒話やさくらんぼ/駒田暉風
     明易し戸締りをせぬ母の里/石崎そうびん
      ご祭神偲ぶ御苑や花菖蒲/清水恵山
     曇天に薄紅をさし合歓の花/筒井省司
     大阿蘇に赤牛沈む夏野かな/田村公平
    塗替へてゐる灯台や五月晴れ/後藤允孝
      梅雨空や雫に映る小宇宙/木村宏一
 グラジオラス天をめざして昇り咲く/山口美琴
 
森 戸 し ゆ じ 選
      梅雨空や雫に映る小宇宙/木村宏一
    園児等の内緒話やさくらんぼ/駒田暉風
      屋根低き釣月軒や青芭蕉/石崎そうびん
      代掻の安堵書込む農事暦/橋本幹夫
    あぢさゐや七坂めぐる寺の町/池下よし子
    待兼て外干ししたる梅雨晴間/山口美琴
      ご祭神偲ぶ御苑や花菖蒲/清水恵山
     大阿蘇に赤牛沈む夏野かな/田村公平
      廃校に友情の碑や青葉風/渡邉春生
   風鈴を吊るして今日の風を待つ/白根鈴音
 
筒 井 省 司 選
     端山に夕陽かかるや朴の花/石崎そうびん
    夏帽子花の迷路で跳ねてをり/木村宏一
     南天の花や鬼門を明るくす/清水恵山
    あぢさゐや七坂めぐる寺の町/池下よし子
      美容室鏡に見ゆる夏の空/山口美琴
     ばらばらに来て注文は心太/瀬尾睦夫
      廃校に友情の碑や青葉風/渡邉春生
    夏至告げる二見の海の禊かな/後藤充孝
       玉簾くぐり同窓生の顔/橋本幹夫
    出くわして日傘が回る立ち話/田村公平
木 村 宏 一 選
  あじさゐに埋もれて御座すご本尊/森戸しゆじ
    代掻きの安堵書き込む農事歴/橋本幹夫
    格式の老舗ゆかしき夏のれん/池下よし子
      美容室鏡に見ゆる夏の空/山口美琴
     南天の花や鬼門を明るくす/清水恵山
     記念日に一輪咲きし時計草/筒井省司
    出くわして日傘が回る立ち話/田村公平
      影ひとつ光る交尾の水馬/渡邉春生
      辛口の師匠の小言夏大根/後藤充孝
   花菖蒲江戸や伊勢やと咲き競う/瀬尾睦夫
 
田 村 公 平 選
   父の日や変わり事なき老い二人/筒井省司
      手術後の歩行訓練夏帽子/筒井省司
       潮風を夕餉の膳に初鰹/筒井省司
   万歳の子をぶら下げて大茅の輪/橋本幹夫
     反戦の声聞きにゆく光晴忌/橋本幹夫
       夏潮や船傾けて大漁旗/後藤允孝
   父の日の子らより受くる感謝状/池下よし子
  伐られても伐られても大夏木かな/石川順一
     栗の花空家の多き村となり/春生
   シスターの会話ひそやか窓若葉/そうびん
 
山 口 美 琴 選
      梅雨空や雫に映る小宇宙/木村宏一
    園児等の内緒話やさくらんぼ/駒田暉風
   シスターの会話ひそやか窓若葉/石崎そうびん
     一枚の植田に千の風が乗る/橋本幹夫
    格式の老舗ゆかしき夏のれん/池下よし子
      ご祭神偲ぶ御苑や花菖蒲/清水恵三
     曇天に薄紅をさし合歓の花/筒井省司
      廃校に友情の碑や青葉風/渡邉春生
    情熱の身を焦がしたる花石榴/後藤允孝
     ばらばらに来て注文は心太/瀬尾睦夫