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10句選 選句者 10人
橋 本 幹 夫  選 
      玉砂利の音深くして寒詣/後藤允孝
     初富士や富津岬の波しぶき/筒井省司
       暁の沖に影ゆく群千鳥/池下よし子
  雪掻のシャベルの音に目覚めけり/清水恵山
    霧氷林見上げて空の高さかな/木村宏一
     一天に雲を払ひて月冴ゆる/瀬尾睦夫
       垣根越し猫の争ひ春隣/山口美琴
   大寒や能登は波濤の荒れやまず/石崎そうびん
   何事も待てと老いへの初みくじ/田村公平
    初神籤大吉と出る日の出かな/渡邊春生
池 下 よ し 子  選 
    霧氷林見上げて空の高さかな/木村宏一
   大寒や能登は波濤の荒れやまず/石崎そうびん
     何事も元日なれば赦されて/橋本幹夫
    老いてなほ出会ひ嬉しと初便/山口美琴
      健康に馬齢を重ねお元日/清水恵山
      背比べ抜かれし孫と初参/筒井省司
      灯台の白亜染めたる初茜/田村公平
     鶏鳴のいつもの時刻お元日/渡邊春生
     寒泳の古式ゆかしき立泳ぎ/後藤允孝
     一瞬に伸びる背筋や冬の雷/瀬尾睦夫
後 藤 允 孝  選 
       風花や瞑想乱す龍安寺/木村宏一
     縄綯へる祖父の背中や冬籠/石崎そうびん
     逝く人は瞼を閉ぢて寒の蝶/橋本幹夫
     寒紅を引きて女将の心意気/池下よし子
       垣根越し猫の争ひ春隣/山口美琴
     水底に音を閉じ込め氷面鏡/清水恵山
    青空へつんと尖りし冬木の芽/筒井省司
     船溜まり舫ひ重なり春近し/田村公平
     鶏鳴のいつもの時刻お元日/渡辺春生
     一瞬に伸びたる背筋冬の雷/瀬尾睦夫
森 戸 し ゆ じ  選 
    霧氷林見上げて空の高さかな/木村宏一
     七種も昔語りとなりにけり/駒田暉風
   おぼろげに祖母の笑顔や根深汁/石崎そうびん
      屈託のなき人生や寝正月/橋本幹夫
      一条の光差し込む冬障子/志村万香
    南天の彩り添へておせち盛る/池下よし子
    老いてなほ出会ひ嬉しと初便/山口美琴
      背比べ抜かれし孫と初参/筒井省司
      灯台の白亜染めたる初茜/田村公平
      初詣何を願ふや小さな手/瀬尾睦夫
瀬 尾 睦 夫  選
   余生にはまだ夢のありて歳迎ふ/清水恵山
      北摂の竹の百幹今朝の冬/池下よし子
      屈託のなき人生や寝正月/橋本幹夫
    餅花や日矢の差しこむ格子窓/石崎そうびん
     年ごとに拡がる余白初日記/森戸しゅじ
     七種粥吹けば緑の匂ひ立つ/木村宏一
    真青なる空引寄せて独楽廻し/後藤 允孝
    蝋梅の香に近々とレンズ寄る/筒井省司
   老いてなほ出会ひ嬉しと初便り/山口美琴
   一瞬の突破にかけるラガーかな/田村公平
木 村 宏 一  選 
     羽目板に響く気合や寒稽古/石崎そうびん
     念押に叩く羽目板初恵比須/橋本幹夫
  しみじみと湯に聴く鐘や去年今年/池下よし子
    老いてなほ出会ひ嬉しと初便/山口美琴
    余生には夢まだありて歳迎ふ/清水恵山
    寒晴れや水琴の音の清らかに/筒井庄司
       順番で神に近づく初詣/田村公平
     鶏鳴のいつもの時刻お元日/渡邉春男
      玉砂利の音深くして寒詣/後藤充孝
      故郷によき山あり初御空/瀬尾睦夫
筒 井 省 司  選 
       三折の樋口一葉お年玉/池下よしこ
    七種や神奈川産のパック詰め/山口美琴
       見物も肩に力や寒稽古/石崎そうびん
   何事も待てと老いへの初みくじ/田村公平
     寒晴れや靴音軽く尾根の道/木村宏一
     大寒や明るき色を身に纏ひ/渡邉春生
  揺るぎなく竜頭の滝の凍てつけり/橋本幹夫
    日脚伸ぶ旅を目で追ふ時刻表/後藤充孝
     記念日に印しを付けて初暦/清水恵山
      初詣何を願ふや小さな手/瀬尾睦夫
清 水 恵 山  選 
     七種粥吹けば緑の匂ひ立つ/木村宏一
ちやんちやんこ五勺の酒に酔ひにけり/石崎そうびん
     病院にあしたは戻る松の内/橋本幹夫
    母ゐます仏間の障子明りかな/池下よし子
    読み聞かせ子らの望みは雪女/山口美琴
    青空へつんと尖りし冬木の芽/筒井省司
     二十年住めば都の雑煮かな/田村公平
   蒲団干す縁側の陽をこぼさじと/渡邉春生
     松影を残して去りし寒の月/後藤允孝
     一天に雲を払ひて月冴ゆる/瀬尾睦夫
山 口 美 琴  選 
     七種粥吹けば緑の匂ひ立つ/木村宏一
     白塗の鉄椅子剥げて冬薔薇/石崎そうびん
     何事も元日なれば赦されて/橋本幹夫
    南天の彩り添へておせち盛る/池下よし子
      記念日に印をつけて初暦/清水恵山
     臥す妻へ元気な孫の初電話/筒井省司
      灯台の白亜染めたる初茜/田村公平
     大寒や明るき色を身に纏ひ/渡邉春生
      玉砂利の音深くして寒詣/後藤允孝
      初詣何を願ふや小さな手/瀬尾睦夫
石 川 順 一  選 
      小吉を高木に結び初御空/清水恵山
      記念日に印をつけて初暦/同
     海豹の見てゐる観光砕氷船/同
  雪掻のシャベルの音に目覚めけり/同
    蝋梅の香に近々とレンズ寄る/筒井省司
  看護師も医師も患者もマスクして/同
      鳥が飛び魚は勢ふ初山河/橋本幹夫
 子を待たずとけてしまへり昨夜の雪/池下よし子
     山頂は健脚ぞろい風冴ゆる/木村宏一
    雪やがて素顔の町を包みけり/後藤允孝