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10句選 選句者10人
20/2014b/11
橋 本 幹 夫 選
      冬構風が吹く度噂して/石川順一
    腰かける石の温もり冬日和/瀬尾睦夫
   護摩焚きや松の尾寺の深紅葉/森戸しゆじ
   小春日の光る御浜のなぎさ石/後藤允孝
 木の実落つあしたへ弾く山路かな/木村宏一
  一葉づつ砂利の落葉を拾ふ今朝/筒井省司
    お地蔵の肩を丸めし初時雨/清水恵山
  かたりべの声に歳月身にぞ入む/池下よし子
 落つるものすべて落として山眠る/山口美琴
    時雨来て叩く潮目や海の色/田村公平

清 水 恵 山 選
  てのひらに冬日頂きあふれけり/後藤允孝
 御手洗の手にひんやりと冬立ちぬ/池下よし子
   十重二十重紅葉の山へ幾曲り/瀬尾睦夫
    裏庭の小さき黄落夕あかり/そうびん
   なほ燃ゆる冬の紅葉の瑞泉寺/橋本幹夫
     白壁の歴史語るや蔦紅葉/木村宏一
   人住まぬ生家は遠き花八つ手/田村公平
  山茶花や写真を撮れば機影あり/石川順一
 落つるものすべて落として山眠る/山口美琴
     初冬や大地に鳶の影落し/春生
 
後 藤 允 孝 選
    残り葉を惜むが如く冬の月/木村宏一
  炊きあがる鮒の甘露煮夕しぐれ/石崎そうびん
  駄駄捏ねる駄馬の前脚牧じまひ/橋本幹夫
   紅葉狩日向ひかげの濃き淡き/池下よし子
   街路樹の刈られて広き冬の空/山口美琴
   挨拶はいつも山茶花垣根越し/清水恵山
   稜線に落ち行く夕陽秋惜しむ/筒井省司
   流されて沖で目覚める浮寝鳥/田村公平
    初冬や大地に鳶の影落とし/渡辺春生
    腰かける石の温もり冬日和/瀬尾睦夫
   
森 戸 し ゆ じ 選
  風なくてばさりばさりと朴落葉/木村宏一
  炊きあがる鮒の甘露煮夕しぐれ/石崎そうびん
   ふる里の土の匂ひや大根引く/橋本幹夫
 思ひ出の黄色いハンカチ石蕗の花/池下よし子
   街路樹の刈られて広き冬の空/山口美琴
      短日や男料理の水餃子/筒井省司
   身の丈の暮らし豊かに根深汁/田村公平
  窯出しの猪口に新酒を注ぎけり/渡邉春生
   鴨一羽湖面に暮色こぼしたる/後藤允孝
   楔打つ山に重たき小夜しぐれ/白根鈴音
木 村 宏 一 選
   護摩焚きや松の尾寺の深紅葉/森戸しゆじ
   ふる里の土の匂ひや大根引く/橋本幹夫
 思ひ出の黄色いハンカチ石蕗の花/池下よし子
   街路樹の刈られて広き冬の空/山口美琴
    お地蔵の肩を丸めし初時雨/清水恵山
     冬隣り門扉の脇の灯油缶/筒井省司
   人住まぬ生家は遠き花八つ手/田村公平
   一両の電車の過ぐる冬野かな/瀬尾睦夫
   鴨一羽湖面に暮色こぼしたる/後藤充孝
  窯出しの猪口に新酒を注ぎけり/渡邉春生
 
筒 井 省 司 選
   板の間に膝突き合わせ濁り酒/石崎そうびん
   寄席太鼓ひびく境内文化の日/池下よしこ
    冬空へ皇帝と呼ぶ花のあり/木村宏一
   ふる里の土の匂ひや大根引く/橋本幹夫
 落つるものすべて落として山眠る/山口美琴
   一人居の待つ人もなき冬の暮/後藤充孝
   一両の電車の過ぐる冬野かな/瀬尾睦夫
   線路脇向かい合わせの干布団/田村公平
  窯出しの猪口に新酒を注ぎけり/渡邉春生
 思い出の黄色いハンカチ石蕗の花/池下よしこ

瀬 尾 睦 夫 選
  炊きあがる鮒の甘露煮夕しぐれ/石崎そうびん
   ふる里の土の匂ひや大根引く/橋本幹夫
   街路樹の刈られて広き冬の空/山口美琴
    大根の畝果てしなき散策路/筒井省司
   鴨一羽湖面に暮色こぼしたる/後藤允孝
     母の忌や箪笥に眠る秋袷/池下よし子
      餞別を賽銭箱に神の旅/清水恵山
    風なくもばばさりと朴落葉/木村宏一
  闇汁や神の意志さへ入れかねず/石川順一
    楔打つ山に重たき小夜時雨/白根鈴音
池 下 よ し 子 選 
   護摩焚きや松の尾寺の深紅葉/森戸しゆじ
   広縁で猫と添い寝の日向ぼこ/駒田暉風
  炊きあがる鮒の甘露煮夕しぐれ/石崎そうびん
  駄駄捏ねる駄馬の前脚牧じまひ/橋本幹夫
   街路樹の刈られて広き冬の空/山口美琴
      短日や男料理の水餃子/筒井省司
    身の丈の暮し豊かに根深汁/田村公平
  窯出しの猪口に新酒を注ぎけり/渡邊春生
    漬桶に塩の準備やけさの冬/瀬尾睦夫
   雨かむり土をかむりて柿落葉/白根鈴音

山 口 美 琴 選 
    皇帝と呼ばれし花や冬の花/木村宏一
  木の実降る幻住庵への九十九折/石崎そうびん
   ふる里の土の匂ひや大根引く/橋本幹夫
 思ひ出の黄色いハンカチ石蕗の花/池下よし子
    恙なく生きて勤労感謝の日/清水恵山
   稜線に落ち行く夕陽秋惜しむ/筒井省司
   人住まぬ生家は遠き花八つ手/田村公平
   鴨一羽湖面に暮色こぼしたる/後藤充孝
    腰かける石の温もり冬日和/瀬尾睦夫
   木の実独楽廻るや山の風纏ひ/渡邉春生

石 川 順 一 選 
   雨かむり土をかむりて柿落葉/鈴音
      初時雨欅通りの古き街/清水恵山
   漬け桶に塩の準備やけさの冬/瀬尾 睦夫
   行く秋や岸辺に仰ぐ比良比叡/そうびん
    唐崎の色変へぬ松天突けり/そうびん
  唐酢茎漬夕餉にまねる京ことば/木村宏一
  リヤカーへ大根抜きて積上げる/清水恵山
   蒟蒻を掘つて旭を浴びにけり/橋本幹夫
    麦の唄唄ひて麦を蒔く日和/橋本幹夫
   神の留守神主さんも旅に出る/山口美琴