清月俳句歳時記 野田ゆたか編
「青邨忌」のページの付録
編者が感銘を受けた「山口青邨」の詠句 46句
新年の句
春の句
夏の句
秋の句
冬の句
山口青邨詠句/元日の俳句 臘涙しげく元日のマリヤさま 山口青邨/の俳句 矢桶よりとつてたまはる破魔矢かな 山口青邨/餅花の俳句 餅花や夕月はやも軒の端に 山口青邨/福笹の俳句 福笹をかつげば肩に小判かな 山口青邨/初句会の俳句 生涯の句なり君とりてよ初句会 山口青邨/松納の俳句 橙を机に取つて松納 山口青邨/獺の祭の俳句 おぼろ夜や獺が祭れる魚白し 山口青邨/梅白しの俳句 草を焼く煙流れて梅白し 山口青邨/春の雨の俳句 捨鍬の次第に濡れて春の雨 山口青邨/畑打つの俳句 天近く畑打つ人や奥吉野 山口青邨/木の芽の俳句 大木の一枝垂れて芽ぐみたる 山口青邨/花屑の俳句 花屑の流れ流れて春はゆく 山口青邨/日永の俳句 日永くとまり木かじる鸚鵡かな 山口青邨/連翹の俳句 連翹の縄をほどけば八方に 山口青邨/茱萸の花の俳句 茱萸の花一つ一つに雨雫 山口青邨/山桜の俳句 杣の子の木のぼり上手山ざくら 山口青邨/芍薬の俳句 芍薬や雨にくづれて八方に 山口青邨/昼顔の俳句 ひるがほや河童ヶ淵に雨そそぐ 山口青邨/火取虫の俳句 まつしまの駅のともしの火取虫 山口青邨/早苗の俳句 一駅を汽車に乗りたる早苗とり 山口青邨/簾の俳句 京の宿簾の外の人通り 山口青邨/羅の俳句 うすものの重り合ひて濃むらさき 山口青邨/夕立の俳句 縁台を濡らして過ぎし夕立かな 山口青邨/洗鯉の俳句 水の音聞ゆる室やあらひ鯉 山口青邨/病葉の俳句 病葉をおとしおとして梅古木 山口青邨/凌霄花の俳句 凌霄花落ちてかかるや松の上 山口青邨/踊りの俳句 灯がついて踊の音は大津かな 山口青邨/月見の俳句 舟べりに頬杖ついて月見かな 山口青邨/月の俳句 病室のわれが名札や月あかり 山口青邨/芒の俳句 芒振り新宿駅で別れけり 山口青邨/案山子の俳句 みちのくのつたなきさがの案山子かな 山口青邨/紅葉の俳句 われもまた妙義の紅葉かざしたる 山口青邨/落し水の俳句 一勺の酒の機嫌や落し水 山口青邨/秋の暮の俳句 寂光院みあかしつきぬ秋の暮 山口青邨/収穫の俳句 収穫の庭ひろびろと芭蕉かな 山口青邨/紅葉の俳句 ひろひたる寂光院の紅葉かな 山口青邨/石蕗の花の俳句 あたゝかな雨が降るなり石蕗の花 山口青邨/山茶花の俳句 山茶花の蕾そろひぬ初時雨 山口青邨/冬めくの俳句 冬めきて畝傍の烏鳴きにけり 山口青邨/屏風の俳句 今消ゆる夕日をどつと屏風かな 山口青邨/山眠るの俳句 山眠る大和の国に来て泊る 山口青邨/聖樹の俳句 雪かゝり星かゞやける聖樹かな 山口青邨/火鉢の俳句 大阪の宿の火鉢に二三日 山口青邨/冬薔薇の俳句 ひとつ咲いてすがれて居りぬ冬薔薇 山口青邨/氷の俳句 氷上に石走らすやとゞまらず 山口青邨/万両の俳句 万両のひそかに赤し大原陵 山口青邨