hai/07/31/00
渡邉春生句集 目次
インターネット
農家に生まれた私は、母親が農作業をしている傍らで、里芋の葉の周りに水滴が連珠のように結んでは落ちるのを飽かず見ていた。
吸い上げられた水が葉脈の一本一本の先から水滴となって膨らむ。
生まれては精いっぱい大きくなって、耐えきれなくなって地に戻っていく水滴。
そしてまたその地中から水分を吸収し、葉先まで戻ってくる。
この繰り返しの不思議さを見て飽きなかった。
いや、飽きなかったというより、それを見ながら母親の仕事の終るのをながながと待つしかなかったのだ。
その母親は昨年百歳で亡くなった。
今、私は小さな畑で野菜を育てている。
2015年3月記
インターネット渡邉春生句集 目次 第1句集 ●春の雲へ 平成25年の作句から31句 第2句集 ●絵本館へ 平成26年の作句から33句