大鳥大社・浜寺公園吟行記
平成17年6月10日 森本恭生
6月12日、大鳥大杜表参道、大鳥居前10時集合の吟行はハプニングの連続で始った。
10時集合の為地元として遅れてはとの思いもあり早い目の9時10分前に、泉大津の句友7人を乗せて出発。
昨日の梅雨入り宣言にも拘らず晴天、ひとまず快調の滑り出しである。9時鳥居の前に着く、何時もと様子が違う。境内に幾つものテントが張られ、出店である。車を降りて見ると、二の日の幟、テントの中は人で溢れかえっている。
困った。普段の静寂な佇まいなど欠片もない。
落ち着いて座れる緑蔭さえも出店に占領されている。これでは・・・日頃の行いが悪いので神様の怒りにふれたのか。
実はこれだけではなかったのである。吟行の第一目的である花菖蒲園に入れないのである。
4月の中頃の下見の際の説明では、自然現象、天候次第で開園期間を何時にするか分からないとの事、俳句を窘む者には誠に的を射た神様からのお達しである。頷いてばかりは居られない。
吟行は6月12日である。例年は6月中旬とのお答え、大丈夫であると自信を持つ。次は句会場である。以前に或る団体にお貸しした際荒らされた事があって断っていると云う。
ならばと種々当ったが心よい返事が得られなかったが、ふと入った畳屋さんの紹介で鳥居横の会館が句会だけと云う事でやっと予約、捨てる神あれば拾う神ありである。
五月の靭公園吟行の数日後、確認に神社に行くと菖蒲園の開場は6月1目から10日迄で、以外は板塀で囲われ入場できないと云う。
吟行日の変更はできない。こうなると先月に予約で二股を掛けていた浜寺公園の薔薇庭園との二ヶ所にしようと決めて、.今日となったのである。
皆様が到着すれば、緑蔭に入ってでも事情説明、お詫びをと思っていたがこの人混みではそれすら出来ない。取り敢えずタクシーの時間とその乗場を来着者に伝えて境内に入って頂き名簿のチェック、10時15分全員の顔が揃った。
もう移動の時間、車六台に分乗浜寺公園は真っ直ぐ下がって、1キロ半である。
公園手前の南海電車、浜寺公園駅で皆さんに降りてもらい、明治40年生まれの現役の駅舎を見学、此処は明治39年東洋一の浜寺海水浴場開設に伴い出来た駅であり、もうすぐ100年になります。
ほんの少しゆくと又駅が、此れは阪堺電車(チンチン電軍で親しまれています)、の終点、浜寺公園駅前駅で阿部野橋からの路面電車です。
国道を渡ると其処は大阪府営の浜寺公園で浜寺の由来は680年前に建立された「大雄寺」が後の南北朝時代に吉野山を「山の寺」と呼ばれたの対し、高石にある「浜の寺」と呼ばれた事に由来するのだそうです。
日本の名松百選にも選ばれた松並木。昭和30年代の埋め立て事業で白砂は失われたが青松は何とか残っているものです。
一度失われた自然は二度と戻らないものです。せめてこの松林だけでも次世代へ受け継いでいきたいと思います。
入口より真っ直ぐ西の噴水、中央花壇、その突き当たりが急遽変更の薔薇庭園であります。
この薔薇園は大阪府の「花ふる大阪事業」により平成5年完成、昔ながらの風景の中に薔薇の彩りを入れた日本庭園を目標にした庭園で、日本の原種20種500株、園芸品種230品種6000株を以って山の景、里の景、湖沼・水路の景等に分かれています。
立派な庭園である。薔薇は既に最盛期を遇ぎてはいるが、そこここで美しさを保ち海風が薔薇の風となって巡る人々を楽しませてくれている。
花の風情とその名称を鑑賞するのも、また花の遅速を教えてくれるのも今時ではなからうか。
湖沼、水路の景では睡蓮、半夏生草等水生植物が、咲き誇っている。山の景の頂に駒草が咲いていると云うので登る。立札にロックガーテンとあって名の通り岩山である。
その岩蔭は楚々と控え目にかの著名な高山植物駒草が淡紅色の花を馬の顔に似て咲いている。
見廻すとすぐそばの水路(昔の海)の向う側は工場群で屋根を連ね煙突やら油塔が稀立している。
触れなば落ちん風情の駒草を間近かにこの環境、この景はどうだろう。駒草も驚いていると思う。この驚ろきもこの庭園ならではである。この企画に敬意を表したい。
駒草の風情を守る努力、保守の知恵もまた大変であろうから。里の景と海辺の景の間に休憩所があり、普段は人で一杯の休憩所も薔薇も終りとあって、引鶴句会貸切の状態である。
ここで弁当の穴子のにぎり鮨を食べ句会場へ、途中参加の泉也様含め総勢27名の盛会で、不手際極まりない吟行を佐知先生始め皆様のご辛抱、ご協力により無事終了出来ました事に感謝し、御礼申し上げます。
又此れに懲りず良い時季に薔薇苑、和泉一の宮大鳥大杜にお出で頂きます様に・・・。後日穴子が美味しかったとの声を沢山戴きました。有難うございました。
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